俺氏、深々と頭を下げられる
「は?何がそんなにおかしい」
「ファーーー、何がって、全部だよ。俺が誰だか知ってるのか。
俺はアンクル商会錬金部門の統括者の一人であり、アスフォール家の五男、グレン・アスフォールだぞ。
お前の言う、バーサーカーとも知り合いというか友人だぞ。
その上で断言する。バーサーカーがお前なんかを知ってるわけがない。
嘘を付くならもっとマシな噓を付けよ」
「は?一体、何を言って、錬金部門の統括者・グレン・アスフォール様って言えば若干13歳にして錬金部門のレベル8を達成して、錬金部門の統括者を任された超絶実力者にして天才の中の天才にして、慈善事業の統括者であらせられるアテナ様と共に慈善活動を行ったりもする聖人としても有名なんだぞ
お前なんかな訳がないだろ」
「ファーーー、よく知ってるじゃないか。
嘘つき野郎の言葉とは言えば、褒められて悪い気はしないな。
そうだな、証拠はこれを見せれば分かるか」
俺はアンクル商会の十二統括者全員に渡している、オリハルコンとアダマンタイトの特殊合金によって生み出された、【統】と掘られているバッチを見せる。
当たり前の話だが、オリハルコンとアダマンタイトの特殊合金によって生み出された色と輝きを偽装するのは普通に不可能に近い。
これを見せれば、アンクル商会で様々な便宜を図って貰える。それこそお代無料から、何億ゴールドと借りたり、お店を自由に改築したり、従業員を勝手にこき使ってもいい。
このバッチの存在を知っている人は少ないが、この人なら知ってそうだ。
「そ、それは、統括者バッチ。色、輝き、本物そっくり・・・いや、理論上偽装は不可能だったはずだから。
まさか、本物・・・・・・
そういえば、グレン・アスフォール様この学園に入学するって担任の先生が話をしていたが、まさか本当だったなんて・・・
も、申し訳ございません」
綺麗な土下座を俺に見せる。
ここまでされたら、何というか怒るに怒れない。
「ちょっと、ガレン、何で謝ってるよの」
「ば、馬鹿野郎。彼はグレン・アスフォール様だぞ」
「そ、それがどうしたのよ。先生も彼が偉い人だとかなんだとか言ってたけど、私そんなのピンと来ないよ。意味分かんない」
「なら黙ってろよ。というか先生が偉い人言ってるなら気づけよ。お前がそんなに馬鹿だと思わなかったわ」
「ちょっと、何よ。そんな言い方しなくてもいいじゃない」
なんか二人がバチバチに喧嘩しだした。
一応、ここ廊下のど真ん中だしクソ邪魔だな。
「ファーーー、ガレンだっけ?取り敢えず頭をあげろ。
別に俺は気にしてないから。
それよりも、ガレンの知り合いであるバーサーカーってのが誰か教えてくれない?」
「も、もちろんでございます。
バーサーカーは私の父がアンクル商会の十二統括者の一人であらせられるバーサーカー殿だと言って客間に泊めている人です。
容姿に強さに性格に聞き及んでいるバーサーカー様と酷似していたので、信用していたのですが、グレン・アスフォール様がそうおっしゃるのであれば偽物かもしれません。
実際に統括者のバッチ等を見せて貰ったこともなかったですし、今思えば不審な点も多かったです」
「ファーーー、そうか」
【ハンゾウ、調べろ】
【もう調べているでござる。すぐにその愚か者の首を持って来るでござる】
【首はいい。せっかくだし質問したいから生きたまま連れて来い】
【かしこまりましたでござる】
「ファーーー、今、俺の部下にその偽物のバーサーカーについて調べさせている所だ。
すぐに結果が出るだろうし、後は俺の部下が処理をしておく」
「ありがとうございます。グレン・アスフォール様
その、出来ればサインを頂けないでしょうか」
「ファーーー、面倒だから嫌だ。まあ、お前の彼女か何なのか知らないけど、これ以上に俺に面倒をかけさせないでくれよな」
「も、もちろんです。グレン・アスフォール様、多大なるご迷惑をおかけしまして、申し訳ございませんでした」
深々と頭を下げるガレンを見送りながら、俺は当初の予定であった午前の錬金術の授業のある教室へと向かうのだった。
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