俺氏、15年間必死に守り抜いて来た大切な物を捨てる


「ギブアップ、ちょっと、ハアハア。もう、駄目。ハアハア」

 気が付いたら、ベロア先生をギブアップさせてしまっていた。

 

 ナニがあったのか一言で言えば、ファーーーがあった。

 

 いやもうそれはそれは、非常に物凄く気持ちが良かったです。


 以上

 終わり。


 真面目に話をすれば、俺の精力が強すぎたという話だ。

 俺の現在のレベルは100を超えており、ステータスもそれ相応に高い。

 更に言えば元々非常に強かった性欲を性欲衰退薬で抑えていた反動が思いっきり来た。

 そんな俺の全力のファーーーだ。

 幾ら高レベルのサキュバスクイーンとはいえ、ギブアップするのも無理はない。

 俺としてはまだまだしたりない感じはあるにはあるが、大分スッキリしたので、心地良い気分ではある。

 それにもうそろそろモブイが気絶から起きそうな感じもあるしな。

 流石にベロア先生とのファーーーをモブイに見せるのは、何というか申し訳ない気持ちがある。

 というか、今更だけどナチュラルに気絶した友人の前で担任の先生とファーーーするとかいうとんでもないことしてるな。

 モブイマジでごめん。


「ファーーー、ベロア先生、モブイが起きる前に服を着ましょう」


「確かにそうね」


 俺とベロア先生は脱ぎ散らかした服をせっせと着る。


「ファーーー、そういえば、気ってのを感じれてないんですけど?」


「グレン君が凄すぎて房中術をするの忘れていたわ」


「ファーーー、マジすか」


「ええ。ごめんなさい。また今度しっかりと房中術をしましょ」


「ファーーー、また今度ですか。分かりました。

 そういえば?気を使えるってことはベロア先生はジャポンに行ったことがあるんですか?」


「ジャポンを知ってるね。流石グレン君博識だね。

 そうね、せっかくだしモブイ君が起きるまで私と魔道の出会いについて話をしましょうか。

 アレは今から20年程前のこと一人でのんびりと世界を旅していた時にジャポンにも行ってみたの。

 ジャポンでは気という概念があり、この気は精気・精力といった私達サキュバスがって、あ。今更だけど私の種族サキュバスね。

 アンクル商会、統括者の一人であるグレン君は知ってるかもだけどね」


「知ってるファーーー」


「フフフ、やっぱり知ってたのね。

 じゃあ、話を戻すわ。

 気は精気・精力といった私達サキュバスが生きる為に必要である栄養のようなものに凄く似ていたの。

 そして、この気を男女で循環させて総量を増やす房中術がサキュバスはとても得意だったわ。

 サキュバスクイーンとしてジャポンでは色んな男性と房中術を行って、気の総量を増やしていったわ。

 だけど、気を使っての肉体強化、特に内功との相性がサキュバスという種族とは最悪で全然使えなかったの。

 かといって外功も上手に使えなくて、どうすればいいかって考えてた時に魔力と上手く反映させられないかって考え付いたの。

 元々、サキュバスは精気・精力を消費して魔法を強化する技が幾つか存在していたわ。その応用で上手い事出来るのじゃないかなってね。

 結果は大成功、思いの外上手く行って、あっという間に魔道を生み出せたわ。

 魔道を生み出して満足した私はジャポンから出て、この国に戻り、部下である他のサキュバス達に気を分け与えつつ、組織を使って運営していたらダーネスに捕まっちゃて、色々あって今はこの学園で講師をしてるわ」


「ファーーー、凄く納得しましたファーーー」

 魔道って概念はベロア先生が生み出したのか、それは原作でも出てこない訳だな。


「フフフ、それなら良かったわ。

 それでねグレン君一個頼みがあるんだ」


「ファーーー、どうしたんですか?」


「その、実は私の部下の一人が走火入魔に陥ってしまってね。生命体の高いサキュバスだから生きてはいるけど、体の中はボロボロでかなり危険な状態なの。

 凄く図々しいお願いなのは分かってるけど、アムリタを一本譲ってくれないかな」


「ファーーー。何だその程度ですか。いいですよ」


「え?本当にいいの」


「ファーーー。もちろん、というか俺は錬金部門の統括者であり、錬金魔法の天才であるグレン・アスフォールですよ。アムリタ程度なら材料さえあれば幾らでも作れますファーーー」


「ありがとうグレン君」

 俺に抱きついてくれるベロア先生。

 お胸様が顔に当たって何というか、凄く良いです。


「ファーーー、喜んでもらえて何よりです」


 その後暫くベロア先生と他愛もない会話をしていたらモブイが目を覚ます。


「よお、目が覚めたからモブイ?」


「あ、グレン、すまん俺気絶してたのか」


「フフフ、おはようモブイ君」


「ベ、ベロア先生、いや、あのその、えっと、さっきのはその、やっぱりえっと、け、結婚をしてからじゃないと駄目だと思います。それにぼ、僕とベロア先生は教師と生徒ですし・・・

 そ、それに初めては互いに好きな人同士でしたいです。

 ベロア先生はとっても魅力的な女性ですけど、まだ出会って2日ですし、いつか絶対僕は後悔してしまいそうなんで。

 ご、ごめんなさい」


 モブイ・・・お前って奴は・・・。

 何て純粋で可愛い反応をするんだ。

 体は凄いのに、というか股間の逸物が半端じゃないな。

 パンツを履いてるから見えてはないが(横から見えたら見える)、パンツが苦しそうなくらいそそり立ってるぞ。

 それに比べて俺は性欲に負けてベロア先生とついさっきまでファーーーをしてしまって、何かこう申し訳ない気持ちにすらなってきたぞ。


「フフフ、いいわよ。モブイ君の気持ちも大切だからね。

 でも、気が変わったら、お姉ちゃんがいつでも相手になってあげるよ」


 ベロア先生、流石にエチエチが過ぎますって。


「あ、は、はい」


 かくして俺は15年間必死に守り抜いて来た大切な物を捨てて、モブイは必死に守り抜いたのであった。



――――――――――


 因みにモブイは黒髪フツメンです。

 ただ、容姿としては整っている方であり、しっかりとしたオシャレな服を着て髪型を整えればイケメンになります。


 面白いと思っていただけたら星やハートを入れていただけると嬉しい限りです。



 補足説明


 走火入魔って何?


 物凄く大雑把に言えば、気が体内で暴走してしまって廃人になる現象の事。

 一般的には武林系統の漫画でよく登場する言葉。

 調べればしっかりと全部出てくるけど、この話においては別にそこまで深い意味がある訳ではなく、ただ、めちゃくちゃヤバい怪我をしたって認識でお願いします。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る