俺氏、原作主人公(笑)に出会う
入学式が終わり、それぞれのクラスへと案内がされた。
英雄学園はランクS・A・B・C・Dと生徒の成績によって順番にクラス分けがされており、一番最初の主人公はさして強くない為に一番低いDクラスから始まる。
良い成績を取って、レベルを上げていって、一定のラインに到達するとストーリーの進行度合いに応じて上のクラスに上がっていくって感じの設定だ。
2周目プレイとかだと、最初から最強ステータスで学園入学前から行動出来たりするからSランクに入れたりして、物語を優位に進められるけど。
そんで気になる俺のクラスはAランク。
最高ランクであるSランクではないものの、普通に悪くはなく、というか良い。
原作での俺ことグレン・アスフォールのクラスランクはCだった。
それも実力によるCではなく、家が伯爵家であるからCというね。
何というかファーーーって感じだ。
ただ、今回はアスフォール家そのものが成長したというのもあるが、俺自身が錬金魔法をレベル8まで上げることに成功した錬金魔法の超天才であるというのも影響してAランクになった。
一応レベル8ってMax10じゃないけれども、この世界基準では普通に上澄みも上澄み、一部の天才にしかなれない領域だからな。
この国の宮廷魔術師の平均レベルも8ぐらいだった筈だし。
英雄やら主人公という例外はあれど、まあ凄いことだよ。うん。うん。
という訳でSランクでもおかしくはなかったが、Sランクは枠が10人しかいない上に、その枠も基本的にヤマダ王国含む各国の王族や公爵家、特待生で固定されてるからな。
まあ、流石に最近力をつけたとはいえたかだが伯爵家の息子である俺がSランクに入るのは無理だって話だ。
といってもSランクになることを望んでいた訳ではないから別に割とどうでもいいといえばどうでもいい。アンクル商会の力を使えばなれないこともないしね。
という訳でAランクの教室に入る。
Aランクには全部で30人の生徒がおり、原作だとヒロインになれるキャラが3人いる。
で、その3人の内一人が元暗殺者系ヒロイン・クロ。
俺のせいで英雄学園に通ってません。
二人目は帝国にて辺境伯の地位を持っていたが権力争いに負けて没落してしまった、元お嬢様系ヒロイン。
ダーネスの方で権力争い相手がクソ野郎だったこともありキリリングゴーして普通にお嬢様として幸せそうに暮らしています。末永くお幸せに。
三人目はAクラスの担任の先生であり、かの有名な大賢者・マーリンの弟子の一人、エルフとドワーフのハーフであり500年という人間を大きく超える寿命を持った研究大好きのサイエンティスト・研究者・マナリア
アンクル商会が大金を積んで雇って、思う存分自由に研究が出来る環境をつくってあげているのでいません。
ええ、まあ。うん。
ヒロインなんていなかった。
そうヒロインなんていなかったたんだ。
そうだろ。(イケボ)
原作マジでぶち壊してるなぁファーーー。なんて思いながら、教室を見渡す。
まだ全員揃ってなく、黒板に全体の席のイラストと名前が書かれていたので指定された場所に座る。
特にやることもないので、適当に伝記小説でも取り出して読み出す。
意外とこの世界の伝記がリアルライトノベルみたいで面白いから結構に気に入っていて、最近のマイブームだ。
まあ、この世界そのものがライトノベルの世界だからな、それはライトノベルみたいな話になるわな。
かくして一人で楽しく本を読んでいた時だった。
「おい」
いきなり声をかけられた。
前を向くと、目の前に原作主人公がいた。
「ファーーー。どうした」
「お前も転生者か。いや転生者だろ」
バン
俺の座っている机を叩きながら言ってくる。
机に少し手形が付いてた。
「ファーーー、それ学校の備品だぞ。壊していいのか?」
「誤魔化すんじゃねぇ。俺の質問に答えろ」
「ファーーー、そうだな・・・」
ここで、俺が転生者ですというのは簡単だ。
そして俺がアンクル商会とダーネスの支配者であり、100を超えるレベルを持った化け物であるということも伝えてやるのは簡単だ。
でも、それじゃあ面白みがない。
原作をめちゃくちゃにした手前、多少申し訳ない気持ちはあったが、明らかな異世界転生者&好き勝手してハーレム作ってるような奴だ。
今ではマジで何とも思わない。
だってこいつも原作をめちゃくちゃにしてんだから。いやまあ俺ほどじゃないけどね。
まあいいや、取り敢えず、少しからかってみるか。
「ファーーー、まずその転生者って言葉は何だ?初めて聞く言葉だがなんかの小説か?」
俺の手に持った小説をフリフリしてみる。
「ふざけんな!とぼけんじゃない。お前が一番異常なんだよ。あの怠惰なかませ犬ごときが錬金魔法レベル8でAクラスにいるとかおかしいだろ」
「ファーーー、それを言ったら。まだ15歳でレベル51のお前はどうなる?15歳で色んな女に手を出してるお前はどうなる?あ、英雄色好むってことか。ファーーーなるほどね。ファーーーwww」
「てめぇ。何故そのことを」
「ファーーー、さて何のことやらやら」
「一度痛い目を見ないと分からないようだな」
俺の肩に手を置いて力を入れる原作主人公、いやジーク君。
だが、レベル100を超えて人外のステータスを持った俺には一切効かない。
「マッサージをするにはもう少し力がいるファーーー」
「クソが、マジでお前何だよ。この世界は俺が俺が主人公なはずだろ。どういうことだよ」
「ファーーー、何訳の分からないことを言ってるんだよ。自分の人生の主人公は自分ってのは当たり前の話だろ」
「何だその先生が言うようなふざけたことを抜かしやがって、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな」
「ジーク、どうしたの。そんなに怒って」
隣に見たことのある顔の女性がいた。
いや違う、この人は確か、魔王殺しの英雄学園にて原作開始前に介入が出来る2周目プレイ以降じゃないと攻略が不可能なヒロインの一人である幼馴染キャラのユイじゃないか。
「ユイ、あ、コイツが・・・コイツが・・・」
冷静になって考えてみて自分が割とめちゃくちゃなことを言ってることに気が付いたらしい。
「今はユイがいるから見逃してやる。次会った時は絶対に正体を突き止めてやる」
三下の悪役みたいな捨て台詞を吐き捨てて黒板を確認して自分の席に戻ってたって。
隣の席だった。
「ファーーー、草。ファーーー。ファーーー。あれだけカッコつけて。ファーーーwww」
「クソが、マジでよう。ふざけるな」
今は見逃してやると言った手前、なんか手を出しにくく、そもそも論教室だし手を出すなよって話だが、まあとにかく羞恥心で机に顔を突っ伏してしまったジーク君。
まあ、うん。何がしたかったのやらやらだな。
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