俺氏、英雄学園に入学する
英雄学園・・・300年以上前に世界を滅ぼさんとした魔王を倒した大英雄ユウキによって作られた学園であり、その目的はいつかまた訪れるであろう魔王のような脅威に備え、強い英雄を育てること。
ただ、ここ100年で段々とその形は崩れていき、設立当初は完全実力主義で、貴族だろうと受験を受けなければ入ることが出来ない場所だったが、今は貴族であれば受験をせずとも入れるようになり、貴族と平民の割合も設立当初は平民8・貴族2とかが、今は逆転して平民2・貴族8とかになってしまっている。
それでも、英雄学園というだけあり、教師はこの世界でも最高峰の人材が揃っていて、英雄学園祭や英雄ロワイヤル、最強英雄決定戦、英雄学園主催魔物狩り等々、英雄学園だからこそ出来る様々なイベントがある。
英雄学園が出来て300年の間に数々の英雄を輩出しており、得意属性という概念を生み出し、得意属性を世界に浸透させた偉大なる大賢者マーリン。
200年前に当時恐怖政治を行っていたチンセン国でレジスタンスを作り、革命を起こして、当時の腐った王をその手で滅ぼし新しくフリード共和国を作った・革命の英雄・フリード。
100年以上前、魔邪神信仰によって魔界に住まうアシットデッドドラゴンが召喚され、世界が危機に陥った時、その命を犠牲にしてアシットデッドドラゴンを討伐した世界の英雄・ワールド
そして、今から30年前に訪れた魔樹森林から襲い掛かってくる総勢10万を超える魔物をたったの1000の兵士だけで退けた指揮王の二つ名を持つ英雄・シテン等々、様々な英雄が英雄学園にて学びその力を高めていった。
そして、本来の世界線であれば、復活した魔王を滅ぼし、ルートによって邪神や悪魔王や悪しきドラゴン等々、様々な脅威と戦い、勝ち続けて新たな大英雄となる主人公が生まれる、魔王殺しの英雄学園の舞台となる学園。
そんな、英雄学園の入学式会場に俺は来ている。
俺の身分としては伯爵家の五男である。それなりに偉いけど、伯爵家当主になれることはないスペア以下の存在だ。
ただ、3年程前からアンクル商会とダーネスの力をフル活用して我がアスフォール家が貴族社会で優位に立てるよう、また領地がより良く発展を続けるようにこれでもかと裏工作を進めていっているので、伯爵家なのに一応4つしかない公爵家に迫る程度の権力と武力と資金力を持ち始めている。
俺もそれなりに偉いしね。
という訳で権力順に前の席に座れるので俺は公爵家のご子息や正教会教皇の娘、ヤマダ王国の王族に並んで最前列になっている。
何というか、変な気分だ。
原作だったら普通に後ろの席なんだけどな。
マジで原作迷子にしまくってるな。
「お前が、最近力をつけてきた、アスフォール家の五男か」
隣に座っていた男性、否、女性が話しかけてきた。
その女性はヤマダ王国・王族・第四王子・カレン・ヤマダ。
王家の諸々の都合で男装をしていて、男として周りも認識しているが実際は思いっきり女性で、色々あって主人公にメロメロ、即落ち二コマするヒロインの一人だ。
「ファーーー、そうです。私がアスフォール家五男・グレン・アスフォールでございます。カレン王子、どうぞよろしくお願いいたしますファーーー」
「噂通り、ファーーー、ファーーー煩い男だな。まあよい、アスフォール家当主は息子の中でも特にお前を可愛がってると聞く。公爵家になりたくないか?」
そういえば、原作序盤の方のカレンちゃんは権力欲に塗れてたな。
これは明らかに俺を引き込んで、アスフォール家を味方につけて、王位継承権争いでこき使おうとしてるな。
まあ、アンクル商会とダーネスの力を使えば俺の言葉一つで、ヤマダ王国の王程度であれば自由に決められるけど。
少し楽しそうだが、下手に頷いて父上含む家族に迷惑をかけられないし、一旦断るか。
「ファーーー、私は今の伯爵家で満足しています。おそらく父上も同じ気持ちファーーー」
「そうか。・・・気が変わった教えてくれ」
「分かりましたファーーー」
壇上に英雄学園の校長先生であり、指揮王の二つ名を持つ英雄・シテンが立っていた。
どうやら入学式挨拶が始まるようだ。
「諸君、静粛に。
我の名前は言わなくても分かるだろうが、一応言っておこう。
我が名前はシテン、指揮王の二つ名を持ちこの英雄学園の校長をやっている者だ。
レベルが高いから20代程に見える見た目をしているが、今年で67歳になる。
おそらく後100年程度は生きると思うぞ。
ホラ、今の所は笑うところだぞ。
全く、最近の若い者は笑いのセンスも分からないのか。
オホン
無駄話はこのくらいにして。
ようこそ英雄学園へ。英雄の卵達よ。
近年の治安はアンクル商会とダーネスによって非常に良く、私が警戒していた魔邪神信仰も遊戯天弱も魔樹森林にて起こるであろう大規模魔物暴走も、全部解決してしまって、他、スラム街問題や腐った貴族共も一掃されちまっている。
正直、この時代に英雄が必要かなんて疑問に思うレベルだ。
だがしかし、断言をしよう。
英雄は必要だ。
英雄ってのは民衆の希望だ。
英雄ってのは誰もが憧れる最高の肩書だ。
英雄がない国は民衆が恐怖と不安に怯えて夜も寝れないような生活を送るだろう。
英雄ってのはある種の精神的支柱なんだ。
そんでもって英雄ってのは凄いぞ。
英雄ってだけで歩けば賞賛の嵐が飛び交い、それ相応の富と権力を手に入れられ、何だって出来てしまう。
ただその分英雄としてそれ相応の責任が必要であり、それ相応の努力も必要だ。
それでも英雄になれば人生が変わる。
歴史に名を刻み、死後も称えられる。
下手な王様や貴族なんかよりも100倍凄いぞ。
お前ら英雄になれ、人を救い、慈悲と慈愛の心を持ち、世界を救え。
命がけで努力をして死ぬ気で死ぬまで努力をして突っ走り続けろ、そうすれば例え平民だろうが元奴隷だろうが、うだつが上がらない下級貴族だろうが、王族だろうが誰だって英雄になれ、称えられる。
この英雄学園ではその機会を提供して手助けしてやる。
英雄になれるかどうかはお前ら次第だ。
以上。
終わり。
解散」
原作と文言が大分変ってるが、割とズバズバと言って豪快な性格の校長先生、シテンの性格は変わってなかったな。
英雄学園、何だかんだで超絶楽しそうじゃないか。
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