俺氏、幸せに暮らすレーナちゃん(ヒロイン)を見てニヤニヤする。
俺は今日8歳になった。
そして本来の物語であれば、今日レーナちゃんが違法奴隷として売りに出されて、あの胸糞イベントは遊戯奴隷が始まりを告げる。
でも、そんなことにはならない。
何故なら俺が遊戯奴隷をぶっ潰したのだから。
まあ、正確に言えば俺ではなく俺の部下がぶっ潰したけど、実質俺がぶっ潰したといって問題はないだろう。
さて、だが俺も馬鹿ではない。
この世界にはおそらく運命の強制力というのがあると考えている。
何故と問われれば、クロちゃんのことだ。
今は俺の専属メイド&見習いメイドとして楽しくやっているクロちゃんだが、原作で老夫婦にクロちゃんと名前を付けられる前である筈なのに俺の部下達の手によってクロちゃんって名前を付けられていた。
元々番号96番だったし、偶々じゃない?ってなれば、そうかもしれないという話になるが、それでも運命の強制力めいたものを疑わざるは負えない。
という訳でレーナちゃんについて部下に調べさせました。
幸い、レーナちゃんがどこに村で生まれたのかはストーリーで知っているので、そこを調べさせたら一発だった。
で、レーナちゃんは奴隷として売られるなんてことはないものの、とある金持ちの冒険者に売るという計画が立てられていた。
どうやら、レーナちゃんが6歳になる頃までは両親から可愛がられていたが、新しく息子が出来てからは愛情が完璧にそっちに向かい、愛情を注いでもらえなくなったレーナちゃんは両親に反抗的な態度を取るようになり関係は悪化。
そこに、村が魔物に襲われて作物が一部壊滅してしまうという被害が起き、幸いなことに魔物は村全体で依頼を出して冒険者に片付けて貰ったが、レーナちゃんの家は困窮状態。
お金が足りない、お金が欲しい。でも、奴隷商人はダーネスというか俺のせいでほぼほぼ壊滅状態。
さあ、どうしようとなった時に村に来ていた冒険者にレーナちゃんを売るという話が出てそのまま持ち掛けたらしい。
で、俺の部下が気を利かせて、アンクル商会でレーナちゃんを買い取ってくれた。
マジで俺の部下が有能過ぎるわ。
以上
終わり。
いやまあ終わりじゃないんだけど。
問題はこれからだ。
アンクル商会の方でレーナちゃんを買い取った。
その後の扱いについてだ。
ぶっちゃけ今の俺ならやろうと思えば、レーナちゃんが一生遊んで暮らせるようにすることも、自分を売ろうとした家族に地獄を見せることも、レベルを50まで上げて割と強い力を手に入れさせることも可能だ。
ただ果たしてそれが良いことなのかと問われれば疑問というものを呈してしまう。
じゃあ、どうする?
今の所考えているのはアンクル商会が運営している孤児院に入れてあげつつ、ある程度レーナちゃんが大きくなってからどう生きていたいか質問をすることだ。
アンクル商会運営の孤児院はかなり恵まれた環境にいるし、結構皆と仲良くやれそうな気がする。
というか待てよ?運命の強制力ってのが本当にあるのだとすれば、今、孤児院にいる孤児達って遊戯奴隷で弄ばれる奴隷じゃない?
レーナちゃんと仲良くなったけど、その後に無残に殺されるっていうプレイヤー達に対してトラウマをこれでもかって植え付けてきたあのイベントで使われる奴隷の可能性ない?
ちょっと調べてみるか。
・・・・・・・・・
本当にそうだった。
名前を全員覚えてる訳じゃないけど、念写魔法を使わせて顔を確認したらゲームに出てきた時とまんまだった。
運命の強制力って凄いな。
いやまあ、可能性的に遊戯奴隷に違法奴隷として弄ばれてたんだがら、孤児という可能性は充分にあり得るしな。
そんでもって孤児となった彼ら彼女らがアンクル商会の孤児施設に流れ着くのもあり得る。あり得る話なんだが。
いやはや運命の強制力ってのは中々に凄いな。
まあいいや。ただ、今回の件で大切なのはアンクル商会の孤児施設に入ったレーナちゃんが他の孤児達と一緒に幸せそうに暮らしてるってことだな。
いやはやいやはやレーナちゃんが幸せで俺としても気分が良いですわ。
本当に心の底からね。
レーナちゃん、君が幸せに生きられるように俺が陰ながら支援をするよ。だから、これからも楽しく笑って幸せに過ごしてくれ。
もう君を不幸に陥れる存在は何もないのだから。
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