俺氏、ヒロインを見習いメイドにする


 魔王殺しの英雄学園にて一部根強い人気を持ったヒロインが存在する。

 そのヒロインの名前は96番改め、クロ。

 皆からはクロちゃんと呼ばれて親しまれてる。尚、某芸能人が頭の上をちらつくのはご愛嬌だ。

 

 そんなクロちゃんは魔王殺しの英雄学園のヒロイン勢の中でも屈指の重たい過去の持ち主である。

 とある娼婦の下で生まれ、そのまま生まれてすぐに金に困った娼婦の手によって暗殺組織・暗黒怪に売られてしまう。


 暗黒怪では生まれたばかりの赤子を集めて、洗脳魔法と薬物を併用しながら、到底人間では耐えきれないような過酷な訓練を行い、最高の暗殺者を育成していた。

 クロも例外ではなく、生まれてすぐに洗脳魔法によって洗脳されて、1日20時間の地獄のような特訓を行い、薬物によって感情を感じなくなるように育てられ、暗殺者として必要な知識等を強制的にインプットされた。


 もちろん、そんなことをすれば90%以上の確立で廃人となり、そのまま死に至る。

 ただ、そうはならずに、適性のあった10%のみが更なる訓練を受けられ、暗殺者として本格的に育成がされる。


 クロは偶々その10%の適性があり、生き残ってしまい、更に過酷な訓練を行わされて、18禁ゲームである魔王殺しの英雄学園でも余りのえぐ過ぎる描写に注意が入るレベルの行為をされた。


 そうして、5歳になった時にクロは暗殺者として完成され、そのまま実戦投入がなされる。

 

 初めてクロが暗殺した対象はとある裏組織の幹部。

 クロはその暗殺を完璧に成功させる。

 そんでもって、その暗殺をした対象は実はクロの父親であり、5年前にまだ組織の下っ端だった時、クロの母親である娼婦を孕ませていたという割とエグイ設定がプレイヤーにだけ明かされる。


 運営には人の心はないのかとほとんどのプレイヤーが思う中、話は進んでいき、10歳になるまではクロは暗黒怪に命じられるがままに暗殺をこなしていった。

 そんなある日、暗黒怪本部が騎士団によって壊滅させられてしまい、偶々任務で遠くに行っていたクロだけ捕まらずに、訳も分からないまま自由の身になってしまう。


 ただ、クロには暗殺以外の道を知らなかった為、何も出来ず、何も分からず、ただ漠然と町を歩いていた時に空腹で倒れてしまう。


 そこをとある優しい老夫婦に拾われる。

 優しい老夫婦は自分の事を96番と呼ぶ少女を不憫に思い、クロという名前をつけ、実の娘のように大切に育ててくれる。

 洗脳魔法と薬物で大分感情やら脳みそがやられているクロだったが、何の皮肉か今まで人を殺してレベルが上がった結果、耐性がついており、優しい老夫婦の手によって、少しずつ人間らしさを取り戻していく。

 そうして6年間幸せに暮らしていたある日、大好きな老夫婦の為にケーキを作ってあげようと一人買い物に出たクロ。


 美味しそうなフルーツが安く買えて、ルンルン気分で家に戻ったら、そこには強盗がいて、老夫婦は無残にも殺されていた。

 

 クロは怒りのまま、その強盗を殺害。

 

 自分を愛してくれて、自分に感情を教えてくれた、心の底から大好きだった老夫婦が殺されてしまい、気が狂いそうになり、気が狂い、ひたすらに発狂し、発狂し過ぎてそのまま感情が爆発して気絶したクロの元に警備兵が駆け付ける。

 

 警備兵によってクロは保護、及び逮捕される。


 目が覚めたクロは老夫婦が殺されて怒りのあまり強盗を殺したと素直に伝え。


 警備兵もそれを信じた。

 実際に彼女は6年前から老夫婦の下で育てられ、老夫婦も彼女も互いを大切に思っていることを調査で理解していたから。


 しかし、彼女が僅か16歳にて強盗犯を殺害したのは事実。

 かといって正当防衛であり、心情的にも彼女を罪に問うのは抵抗があった。

 

 それでも法に則れば過剰正当防衛という形で罪に問わなければならず、彼女は刑務所に入れられることとなる。

 そして刑務所に入る前に行われる知能検査と身体測定、そしてレベル検査にて彼女は恐ろしい程の知能(暗黒怪によって知識をインプットされたから)と身体能力、そして47という驚異的なレベルを叩き出してしまった。


 16歳とは思えない結果に誰もが唖然とし、こんな才能と力がある彼女をこのまま刑務所に入れていいのかという話になり、英雄学園への入学の話が上がる。

 

 かくして、元暗殺者であり、恩人である老夫婦を亡くしてしまった彼女は英雄学園へと入学して最愛の人となる主人公に出会うっていう設定だ。


 まあ、中々にエグイ過去だ。


 因みに初期レベルが47で、スキルも暗殺系統を豊富に持ち、得意属性は毒魔法という非常に有用なもんだから、攻略難易度はかなり高い上に、仲間に出来るのは最低でも3章クリア後というね。


 さて、話を戻そう。


 そんなクロが今、俺の目の前にいる。

 それも過去編に出てきたロリクロちゃんが。

 ロリクロちゃん。これはネット上でつけられて、過去編にのみ出てくる幼いクロちゃんの総称であり、大人になったらナイスバディになるクロちゃんだが。

 幼い頃はぺったんで背も小さくて、髪は短く切りそろえられている、THE幼女って感じ。それなのに言動は大人っぽくて死んだ魚のような目をしている所がネット民に受けて非常に人気が高い。

 某絵が投稿されまくるサイトでは、色んな絵が投稿されていて、某笛吹き男による二次創作投稿サイトではロリクロちゃんを愛でるだけという割と狂った二次創作が出て話題になったりもした。


 懐かしいな。ちょっと感動して泣いたのを覚えてるわ。


 で、そんなロリクロちゃんが今、俺の目の前にいる。


 嗚呼、神様ありがとうございます。

 これだけで転生したかいというものがあった気がするし、原作よりも早くにクロちゃんを救えたことに誇りすら感じるわ。


 で、まあルンルン気分のファーーーって気分でロリクロちゃんと話をしたのだが、もうなんかこう可愛すぎて辛い。

 何これ、ヤバいんだけど。

 マジで可愛い。可愛い過ぎる。


 髪は原作とは違い伸ばしており、目は死んだ魚から希望に満ちた輝いてる目になっている。

 ただ、べったんこな所とか小さくて可愛い所は変わってないし、今着てる服も俺の趣味全開で作らせたアンクル商会ウェイトレス服っていうね。

 スカートのフリフリが可愛い。


 ああ。もう最高だよ。


 ファーーーだわ。最高にファーーーって気分だわ。


 そんなロリクロちゃんが俺の側にいたいとか言ってきた。

 マジで尊いし可愛すぎる。

 ヤバいなこれは。


 よし、決めた。

 メイドにしよう。両親に頼んで専属メイドにして貰う。

 設定とかは適当にアンクル商会にお邪魔した時にメイドになりたいって言ってきたとかでいいだろ。本人の意思も充分だし、身元もアンクル商会の方でどうとでも出来る。

 完璧だな。


 ああ、もう本当に今日は最高の気分だ。




―――――――――――


 因みにこの世界では治安が良くなってるのでクロちゃんを助けて育ててくれた、優しい老夫婦は強盗犯に襲われることはありません。

 そのまま二人で幸せに余生を過ごします。

 


 

 

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