王国の女王と漆黒の騎士
石田未来
プロローグ
太陽の照りつける中で行われた。
10万人を超える観衆の前には古くところどこが錆び付いた断頭台があった。
みすぼらしい格好で無精髭に手入れのされていない肩までかかった髪の男は後ろ手で錠をかけられうなだれていた。
その男の後方にある城のバルコニーにはまだ若くしかし威厳のある王冠を頭に載せた女性ともう1人法衣を着た
観衆の怒号や涙ながらの嘆願、無表情で傍観する者など様々である。そのような静寂とは程遠い中で、法衣の女性は右手を挙げると観衆の喧騒がピタリと止んだ。
「これより元ヴィクトリア騎士団団長レイド・ヴォルガの処刑を遂行する」
「この者の罪は国家反逆罪及び女王殺害未遂罪である。この者犯した罪、決して許されず…よってここに死刑を処す」
法衣の女性はそういうと女王と思わしき人物に目線を送った。女王はその目線に頷き一歩一歩歩みを進める。
「我、ヴィクトリア・アイゼッタ・ゴドルフィンが告げる。レイド・ヴォルガに裁きを!!」
女王の言葉に応じ、罪人の男の後ろにいた処刑人の2人がさが左右に剣を掲げた。
「罪人レイド・ヴォルガよ。最期に言い残すことはあるか?」
女王は罪人に対して、問いかける。
すると男は重々しく口を開き。前髪に隠れていた瞳を女王に向けた。
「俺は…」
女王を瞳に入れた際に激しい怒りで歪んだ顔で言い放った。
「俺は…。俺は…貴様を…許さない!!!!! ヴィクトリアァァァァァ!!!!!」
殺意がこれでもかと込められた言葉は広い広場にこだまするよう王国に響き渡った。
「……。さようなら…レイド…」
「罪人に裁きを与えなさい!!!!」
表情は変わらずしかし、どこか悲しみのある声音で罪人の名前を発した後、処刑人に向けて言葉を放った。
「Yes, Your Majesty」
その言葉とともに左右の剣は罪人の背中を貫いた。
この日王国の人間は幼い子供や赤ん坊でさえも誰1人として笑うことはなかったと言われる。
そして悲劇は続いていった。
王国の女王と漆黒の騎士 石田未来 @IshidaMirai
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