第11話 レドラ
レドラ
彼女は傭兵でありこの町の管理官に雇われている、この町はこの地域では一番大きく商人や旅人の立ち寄る中継地点でもある。
最低でも千人が暮らす町でお店の数も50軒以上。
宿屋は8軒食堂も5軒以上ありこの地方ではそこそこの大きさがある、このぐらいの大きさの町になるとチンピラはもとよりヤクザ風情の男や売春などの裏商売もはびこってくる。
そうなれば日常的に犯罪が勃発するようになる、暴力で物事を解決しようとする馬鹿には強い抑止力が必要なのは今も昔も変わらない。
見た目もそうだが彼女のいでたちは、そう言った宣伝をするには持って来いだった。
以前やはり喧嘩やいざこざが起こった時彼女が仲裁に入り管理官の奥方が救われたという。
その腕を買われ、町の用心棒として雇われたのだ。
彼女は過去にフレアフィールと言う小隊に所属していた、女だけの小隊で他にも巨人族が居たのだが、その小隊は5年前に解散した。
隊長だった侯爵の次女アリスリア・フィールホフが親の命令で婚姻をする為小隊を抜けたからだ、まあその結婚は政略結婚らしく、隊長は罠に嵌められたと怒っていたと言う事だったが。
そんな事があると女だらけの小隊など皆考える事は同じ、我先にと男を見つけるため小隊から独立しあっと言う間に散って行った。
残された巨人族のレドラは居場所を無くし放浪の旅に出た、何度か他の小隊に所属したこともあったが。
戦場では彼女の名は有名になりすぎて、居心地が悪くなりいつの間にか雇われ用心棒としての生活に落着いたのだ。
この町の用心棒は3人ほど居る、だが町を見回っているのはレドラとゴジル・ダールという男だけ。
普段ゴジルは娼館につきっきりで他の商店や町の中を見回ることが無い。
殆どをレドラに丸投げ状態にして自分は娼館の女とイチャイチャしているという。
確かに色事の争いは少なくないし、娼館にはそれなりに問題が多いのも確か。
まあレドラとすれば彼がその近辺を重視して見回っているので、逆にそれ以外を見ればよいと割り切っている。
すでに居ついてから3年が経ちこの町のごろつきもヤクザも全て見知った仲だという。
「全く問題ごとが尽きないね」
この日荒くれ者達が数人娼館へと入り問題を起こす、担当していたはずの用心棒ゴジルはその日やってきた遊撃隊の兵士数人にやられ、娼館の女達も数人殺されるという事件にまで発展する。
「よしておくれよ、これじゃ商売にならないよ~」
「もっと若い女が居るっていったのによ、ババアばかりじゃねーか」
「おいもっと若い女を出せ!」
兵士達は娼館の女将の髪を引っ張り、因縁を吹きかける。
「おいてめーらなにやってんだ」ゴジル
「あ!」
「このやろ~外に出ろ!」
「あ!何いきがってんだおめ~ヘッヘッ、いいぜ~おまえのせいでこっちの気分が台無しだぜ~」
男達は目配せすると外へ出て行く、そして扉の外へ出たと同時にゴジルの腕に針のようなものを突き刺した。
「何しやがる!」
「いきがっていられんのも今のうちだぜ~」
「なんだ目が…」
「おうこいつを抑えろ」
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