文化祭の後 1
令和五年十月三十一日の夕方。
灯子の部屋。
「階段って別に三ヶ所にあるんだから別の階段使って降りればいいんじゃないの?」
灯子はここまでの話を聞いて、そう質問した。
S高等学校の校舎は、横長の建物の端と端に一ヶ所ずつと中央に一ヶ所の計三ヶ所に階段がある作りになっていた。
「僕は部室棟で着替えてたから」
部室棟はメインの校舎の片端と接しており、その接している側の端の一ヶ所にしか階段がない作りになっていた。
「なんでわざわざ部室棟行ってんの?」
「なんでって、一番使いやすいんだよ。トイレで先生と一緒になりたくないし」
メイン校舎は特殊教室棟側と部室棟側それぞれの端にトイレがあるが、各階で男子用・女子用が入れ替わっている。部室棟側のトイレは、奇数階に男子用、偶数階に女子用となっていた。そして、部室棟側の男子用トイレは一年生と二年生が三階、三年生と教師が一階のトイレを使用することが暗黙のルールのようになっていた。
仁のクラスである三年一組は二階の部室棟側にある。仁は教師とトイレで鉢合わせたくないため、校舎の一階のトイレを通り過ぎ、渡り廊下を渡って部室棟の二階のトイレまで行くことが多かった。
「はぁ、そう。部室棟なのね。じゃあ、続きを話して」
灯子に促され、仁は続きを話し始めた。
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