第6話 カグヤ

答え合わせダイジェスト。

その2。


(vii)

~~~~~~~~~~~

47 お〇〇?

44 〇お〇?

02 〇〇も?

34   〇?〇〇

13   〇?きょ〇

37   〇?〇


?の6文字

~~~~~~~~~~~



「おおもきょ?」


サイリが問題文の平仮名を辿る。


「規則性が見出せるような文字列ではないわね」


分かっている文字が頭文字じゃなくて、途中の文字の単語もある。

これだと規則が探しにくい。

数字の方が何か見つけられるかな?


「数字は何だと思う? とりあえず二桁だけど?」


サイリも数字から考えているようだ。


「最大で47ね」

「47と言えば?」

「……都道府県?」


反射で答えたけど、ありえるか?


「都道府県って数字がついているの?」

「ついていたような、いないような?」


私もあんまり自信はない。

都道府県番号ってあるのかな?

あってもおかしくないけれど。


「けど、番号がついているとしたら北からかな?」


サイリが推測する。

私も追随する。


「北海道が1で青森が2かしらね?」

「沖縄が47?」

「大分と熊本はどっちが44かしら?」

「二文字目が『お』だから、大分でしょうね」


細かい番号との対応は分からないけれど、それらしい都道府県名で問題を埋めてみる。


47 おきなわ

44 おおいた

02 あおもり

34   ひろしま

13   とうきょう

37    かがわ


「きれいにはまるものね」

「?の部分が『わたりろうか』だね。意味も通るし、これで良さそうね」


サイリはスマホ画面に答えを入力する。

ピンポンっという効果音が鳴り、正解画面が表示された。


(vii) ウエスト




(viii)

~~~~~~~~~~~

作業なし

コンバンノミタイモノハ


作業あり

マサシティスセーニソ

~~~~~~~~~~~


「作業なし、作業ありって何かしら?」


まず私が気になったのはその部分。

謎解きでこんな文章があるのは珍しい気がする。


「ありなしが書かれているから、ヒントにはなりやすそうだよね」

「ありなしクイズではなさそうだけど」


ありの方の共通点を探すパターンではなさそうだ。

コンバンノミタイモノハ。

私は口に出して見た。


「上の片仮名は普通に読めるわね」

「『コンバンノミタイモノハ』だから『今晩飲みたいものは?』か『今晩の見たいものは?』でしょうね」

「じゃあ答えは飲み物か、見る物になりそうね」


ひとまずは絞れているのかな?


「下の方って、どういう意味かな?」


サイリが疑問を投げかける。

マサシティスセーニソ

意味が通じる文章ではない。


「意味はなさそうだけど……ん?」

「ん?」

「サシスセソが全部あるわね」

「おっ!」


私は良いところに気付けた。


「『作業あり』って『サ行あり』だから『サシスセソ』を全部抜いて読めってことかな?」

「それっぽい!」


サイリも納得してくれる。


「『マサシティスセーニソ』が『マティーニ』になるわね」


私は手元のメモに書き記す。

マティーニ?

聞いたことがない言葉だ。


「それだね!」


私は分かっていなかったけど、サイリは合点がいったようだ。


「マティーニって何?」

「お酒の名前よ。カクテルの王様って呼ばれているわ」

「よく知っているわね」

「最近、お酒の本を読んだのよ」

「……すごいわね」


中学生が酒の本を読むか?

私は気になったけれど、サイリは気にしていなかった。

答えが分かってうきうきである。


サイリはスマホ画面に答えを入力する。

ピンポンっという効果音が鳴り、正解画面が表示された。


(viii)マティーニ


(ix)

~~~~~~~~~~~

 すごい:○○〇〇

満月の夜:〇。〇〇〇

お金持ち:○○〇。〇

愉快なもの:?


?は4文字

~~~~~~~~~~~



「どこから考えようかしら?」


サイリも困っているようだった。

私もどこから考えて良いか迷っている。


「すごいって何だと思う?」

「カグヤの可愛さは何よりもすごいと思う」

「そういうのは後でいいから」

「後でなら聞きたいんだ?」

「…………」


沈黙。


「?」


サイリは小首を傾げて答えを催促する。


「まぁ、そうかもね」

「えへへ」


誘導尋問に引っ掛かって負けた感がする。

新手の辱めだ。

サイリは私の反応を見てにっこにこだ。

なんか悔しい。

そんなサイリのボケは置いておいて。

考えやすいのは『満月の夜』かな?

満月の夜から連想されるのは、月光、月見、お団子。

しっくりこない。


「満月から解くのは難しそうね」

「わたし、見つけたよ。『満月』は『じゅうごや』じゃないかしら?」

「おっ、それっぽい」


サイリが良いものを見つける。


満月の夜:〇。〇〇〇

     じゅうごや


小さい文字がぴったりはまる。


「あと、お金持ちは『ブルジョア』だと思うわ」


サイリがどんどん当てはめていく。


 すごい:○○〇〇

満月の夜:じゅうごや

お金持ち:ブルジョア

愉快なもの:?


「これ、どういう規則で言葉が並んでいるのかしら?」

「繋がりが見えないよね」


わたしは、口に出して言ってみる。

十五夜、ブルジョア。

なんとなく語感は近い。

韻は踏めそうな。

いや、踏めている!


「これ、母音が一緒だわ」


十五夜、ブルジョア、uuoa。


「本当ね!」

「これなら、『すごい』は『ウルトラ』っぽいわね」


ウルトラ、uuoa。


「じゃあ、愉快なものは……」


私は韻を元に単語を探す。


「ユーモア!」

「それだ!」


サイリはスマホ画面に答えを入力する。

ピンポンっという効果音が鳴り、正解画面が表示された。


(ix)ユーモア



(x)

~~~~~~~~~~~

1文字抜いて並び替えよ


スイングルート

~~~~~~~~~~~


「これは、手分けしてやってみる?」


私はサイリに提案する。


「そうね。わたしは『スイング』のどれかが消えたパターンで並び替えてみるわ」

「なら私は『ルート』のどれかが消えたパターンね」


やるべきことは把握出来ているから、ペンが動くのは速い。

いろんなパターンで試していく。

ルを消した場合。

スイングート

スイングトー

グートスイン

知っている言葉になるかどうか。

色々試していくが、先に見つけたのはサイリだった。


「あった!」

「おっ」

「答えは『インストール』ね」

「ちゃんと単語になっているわね」


一応、他にも無いか確かめようと思ったけれど、総当たりは流石に大変だ。

全パターンは5000通りくらいかな?

全部確かめるのは現実的に無理。

答えっぽいのが一つ見つかったので良しとしよう。


サイリはスマホ画面に答えを入力する。

ピンポンっという効果音が鳴り、正解画面が表示された。


(x)インストール

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