そっくりだよ。
翌日
桜マートでシキは緑にレジをレクチャーをする。
(この世界にレジがあって良かった。)
鴉紋が桜マートに入ってくる。
「鴉紋、どうした?今日はシフト入ってねーだろう?」
「彼女に差し入れを持って行こうと思って」
彼女とは昨日、保護した夏の姫。雅のことである。
流石に鴉紋の部屋にずっといる訳には行かないから、春の王が住まう居城の一室に匿っている訳だ。
鴉紋は桜の模様のついたクッキーを手に取る。
レジに持っていき、バーコードにスキャンして
緑が説明する。
「250円でございます。」
「はい」
財布を出してお金を緑に渡す鴉紋。
(この世界にレジがあって良かった。流石にポイントカードはまだだが。)
鴉紋がニコッと笑う。
「様になってるよ。緑君」
緑は目をキョトンとしながらポリポリと、頬をかいた。
「そうですか?」
「ああ。戦力になるぞ。」
シキは腕を組ながら力強く頷いた。
◇◇◇
鴉紋は春の王の居城へと足を踏み入れた。
家臣たちが頭を下げてくる。
僕は相づちをうちながら歩いていく。
正面から癒しの力を持つ春の族とは違う波動を持つ存在が歩いてくる。
燃える色の赤い髪。盲目の青年。
王の羽織には紅葉と陰陽の印。
秋の王ー紅葉である。
「紅葉さ..ん。何でここに」
鴉紋は驚く。昨夜感じた気配は彼だろう。
父さんも紅葉さん雅ちゃんが春の族にいることに気づいてるだろうと話していた。
「ちょっと春の王の居城を見たかったんだ。」
「そうですか。では用がすんだなら秋の族に帰りになられるんですか?」
鴉紋は紅葉とすれ違う。
「君は帰らないのかい?王族に」
ニヤリと笑う紅葉
鴉紋は目を見開く。拳をぎゅっと握る。
「僕の居場所は春の族です!王族じゃない」
そう言って紅葉の顔を見る鴉紋の顔は、普段の穏やかな表情とはうってかわり、怒りの形相だった。
「鴉紋君。そういう顔をするとそっくりだよ。キサラ《お兄さん》に」
じゃあ、またと手を振って去っていく紅葉。
鴉紋は暫くその場から動けずにいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます