第6話 リランド

「ここが「リランド」か!!」


クオールはその見事街並みに感動していた。故郷でもある「ライドラ」は騎士王キャバリオスの下に全てが管理され整頓され騎士階級は絶対でどこか息苦しさを感じる街であった。


それに対してこの「リランド」は風通しの良さを感じる。人々の顔が晴れやかに見えるのだ。


「よし行こう」


クオールはそう言うと街へと足を進めた。


(まずはこの街を治める冒険王アヴェンに会ってください。彼は混沌についてある程度わかっているはずです)


この星で五大国と唯一渡り合っているこのリランドを治める冒険王アヴェン。


世界を旅していたアヴェンは五大国の異常さに気づき声をあげた。支配されてはならない。自由に生きるのだとそして戦いの狼煙をあげた。


その彼の元には自由を求める者達が多く集まり自由と冒険の国「リランド」が産まれたのだ。


時に五大国の王達とも渡り合うアヴェンを人は冒険王と呼んだ。


今や五大国にとってこのリランドこそ邪魔な存在であり欲望の抑止力になっているのだった。

 

クオールは街の中心に位置する巨大な建物に向かう。


華美な装飾など施されていない無骨な城。


自由の城「リベルタ」はこの国の象徴である。


「すみません。冒険王アヴェン様にお会いしたいのですが、、、」


城の門番に声をかけたがジロリの睨まれただけで全く反応が無い。


「すみま」


もう一度クオールが言った側から門番から

「今、王は誰とも会わない。帰れ」


と怒鳴られてしまった。


(一度出直しましょう。何かあったのかもしれません)


剣からそう言われてクオールは一度情報収集しようと街に向かう。


情報収集といえば酒場であろうと向かった酒場も何故か静かである。


「ずいぶんと静かですが何か起きてるのですか?」


クオールが尋ねると酒場の主人から返答が返ってきた。


「今この国は隣の大国「ゴロシタ」から攻められてるのさ」


聞くとリランドの隣にある商業と農業の国ゴロシタから攻撃されていると言う。


城に名うての冒険者達が集まって対策を練っていると言うのだ。市民にはそれほど知らされておらず冒険者達のみに特別な連絡網を使って知らされたらしい。


「あなたはなぜ知っているのですか?」


「俺はしがないバーのマスターだが連絡係でもあるからね。お前さんもどうやら只者ではなさそうだしかなりの実力者と見える。俺は神のギフトの力で人の心を見ることができるんだ。それでお前さんからは神聖な力を感じてね。是非王に会ってほしいと思うのだからいかがかね?」


「是非お願いします」


まさかバーのマスターから王に繋がるとは思わなかったが幸先いいなとクオールはマスターから城への通行書を手に入れた。


(何か嫌な予感がします。急ぎましょう)


剣から急かされたクオールは再び城まで向かうのであった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

世界を治める剣 ロード @haruka1210

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ