自由と冒険の国

第5話 迷いの森

「まさかこんなに体軽くなるなんて!」


思わず声に出してしまうほど身体強化の力は素晴らしかった。


まるで自分が自分ではないみたいに羽のように動き回ることができる。


そして剣の力で心を得たクオールは今まで一番とも言えるほどの充実感を感じて走る。


(ここは古代の神殿を隠すために迷いの力が施されていて普通の人間は入ってきても神殿には辿り着けないようになっています)


剣から声がかかりクオールは答えた。


「ならばいざという時はここに戻ってくれば安全ということだね。」


(そうですね。混沌の心を集めたたら次はここに帰って来れるように空間の力を授けましょう)


「そんな力が!!!それは素晴らしいですね。ならばどんどん混沌の心を集めないと!」


クオールはそう言うと森を全力で走り出す。


しばらく進んでいると剣が反応を示した。


(混沌に飲み込まれたものが近くに何体かいるようです)


目を凝らすと前方にひとの姿ではない異形の者がいる。


(あれが混沌に飲み込まれた人の成れの果て、カティーヴォと呼ばれるものです)


目が赤くひかり体は黒く染まっていて口からは舌が伸びてきるものと歯が牙になったものがいる。


「よし倒そう」


クオールは剣構えて敵に突っ込んだ。


上から剣を振り下ろすとカティーヴォは一撃で真っ二つになる。倒されたものから黒いモヤが現れて剣がそれを吸収する。


「やはりとてつもなく強化されてますね」


そう言って今度は剣を横に薙ぎ払うと二体同時に半分となる。


クオールの初戦は圧倒的な勝利に終わった。


(混沌に飲み込まれたものは倒されると消滅します)


カティーヴォは黒いモヤを出し尽くすとそのまま消えてしまった。


「欲望に飲まれるこんなことになるですね。なんと哀れなのでしょうか」


そう言ってクオールは再び森を抜けるために走り出す。


そこからしばらく移動していると森から抜けた先に巨大な街がみえた。


(あれが自由と冒険の国「リランド」です)


「よし!行こう」


クオールは初めての街に心躍らせ街に向かうのだった。

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