第2話 継承

ふと彼が目を覚ますとそこは古びた遺跡のようでところであった。


(ここは一体、、、)


彼は心の中でそう呟くと周りを見渡した。


(それよりも一体何が起きた?)


改めてそう呟くとしゃがれた声が聞こえる。


「よく来た。望みを持たぬものよ」


よく見るとそこにはあまりにも美しく神々しい光を放つ剣を持った老人が立っている。


「あなたは、、」


「我が名は剣神スペリオール。心を持たぬ者を2000年待っておった。我はかつてこの世界を治める剣『ゼノス』を持って世界を統一した者。そして神の地位を得て天界へと昇ったのだ。今世界は争いが続き荒廃し続けておる。このままで星が滅びてしまうのだ。そのため永い年月をかけてこのゼノスを受け継ぎしものを探していたのだ。心のない者を」


「私には心どころか感情も何もないのです。。喜びも怒りも哀しみも失われているとしか思えないのです。」


彼は老人の言葉にそう答えた。


「この剣は持てばたちまちその感情を爆発させてしまう力を持っているのだ。我も貴様と同じように心を持たぬ者であった。正義の心を持つものはその正義を暴走させ人を虐殺した。哀しみの心を持つものはその寂しさから多くの人を巻き添えにした。邪悪なものは言うまでもない。この剣は心のないものにしか扱うことはできんのだ。そして心を持たぬものには世界を統一する力が与えられる。感情に左右されず全てを裁く力を」


そう言って老人は彼に剣を渡そうとする。


「その剣受け取るわけには参りません。私のような虚無なものが世界を統一するなど無理だと思うのです」


「それは違う。確かにお前は何も感じないのであろう。この剣はお前に心を与えるのだ。普通のものなら感情が爆発してしまう。心なきものには剣から世界の王たる心を得ることができるのだ。その全てを受け入れることができるのが心なきものなのだ。世界の混沌を治めるものは剣に選ばれしお前しかいない。神々の心を、力を受け入れるのだ。安心せよ!その力はすぐに使いこなせるわけではない。少しずつ剣と一つになっていくであろう。わしもそうであったように」


老人はそういうと彼に剣を手渡した。


眩いばかりの光が彼を包み込み再び声が聞こえる。


「世界を頼んだぞ!クオール!剣に選ばれしものよ!」


剣を受けとったクオールはそのまま意識を失ったのだった。

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