🌕️【掌編小説】自分の素顔 ⚠️閲覧注意

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 目覚めると全て失っていた。

 私に残っていたのは、頭を打った痛みと流れていた涙だけだった。


 何もかも忘れていた。

 全ての記憶が消えていた。

 何も覚えてない……。

 ただ何となくだけど、悲しい……。


 どうして悲しいの?

 思い出せない。

 誰かに聞けば分かるかな?

 だから私は、人に尋ねながら自分の教室へ向かった。


 騒がしくて、楽しそうな自分のクラス。

 でも……、私が教室に入った途端、クラスの子たちは急に静かになった。


 そして、私を冷たい目で見下している。

 みんなどうしてそんな目で私を見るの?

 私、何かしたの?

 分からない……。


 とりあえず、私は、自分の名前が貼ってある自分の席についた。

 私……、やっぱり何か悪いことしたんだ。

 でも、覚えてない……。


 机に書いてある文字を触っていると、私はクラスの子に呼び出される。


 何か思い出しそうで、思い出せない変な感じ……。

 ………あれ?

 私、この場所知ってる?

 でも、何処だっけ?

 何で知ってるんだっけ。


 考えながら余所見していると、次の瞬間―――…。


“ドンッ!”


 え……?

 あっ……。

 そうだ……、私……。


 ここの階段で落ちたんだ。

 ここで落とされたんだ。


 私、イジメられっ子でクラスの中で浮いてて、クラスのみんなからいつもイジメにあってた。


 だから、机にも……『死ね!』『消えろ』って、書いてあったんだ……。


 あの時も、記憶を無くしたって、私は“イジメられっ子”には変わらないんだ……。


 死ぬまでずっと、続くんだ……。


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