【掌編小説】伝えたかった一言

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 伝えたいことがあった。

 わたしは、書くことを選んだ。


 他の人にバレるのは分かっていたけど、貴方に伝えるにはコレしかなかった。


 喧嘩をしてしまったから、謝りたかった。

 ただ一言、『ごめんなさい』って……。

 なのに、貴方は、


「何で書くんだよ!

 直接、口で言えば良いだろっ!!」


 怒った貴方。

 気まずい空気。

 よく言うね。


 ……どうせ話し掛けても、貴方はろくにわたしの話を聞いてくれないくせに。


 あぁ、もう駄目だ。

 もう限界。


 これ以上、貴方を想い続けたら、わたしはここにいられなくなってしまう。



 貴方はわたしを捨てた。



 ―――本当に痛いのは、痛いと言えないことかもしれない。


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