【掌編小説】leave(残す)
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この声がもう一度、届くのなら。
今まで言えなかったことを伝えるのに。
この姿でもう一度、逢えるのなら。
恥ずかしがらずに人前で手を繋ぐのに。
後悔するばかりだ。
あの瞬間は、ああするべきだった。
あの瞬間は、こう言うべきだった。
悔やんでも悔やんでも、悔やみ切れない。
でも、これで良かったんだと思う。
お前の中から俺が消されて、お前は俺のことを忘れて。
俺に今まで向けられた笑顔は今、別の人間に向けられている。
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