🌕️【掌編小説】君想自心

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 あなたと初めて出逢ったあの日、僕は自分を失った。

 死んだのではない。

 心がガラリと変わった。


 闇を描く心が、あなたへの想いで少しずつ染まっていく。

 心は少しずつあなたで染まっていくのに、あなたに話し掛けることが出来ない。


 初めはただ、見ていることしか出来なかった。

 でも、勇気を出してあなたに私事で話し掛ける。

 あなたは僕の言葉に驚く。


 話をする度に、あなたとどんどん仲良くなれた。

 それが、どんなに嬉しかったか……。


 それと同時に僕の心は、あなたへの想いでいっぱいになる。

 あなたは僕の中で一番になる。


 でも、あなたは?

 あなたは僕のことをどう思っている?

 あなたの気持ちが知りたい。


 さりげなく気持ちを聞くことは出来るけど、僕はストレートにあなたに想いをぶつける。

 僕の想いにあなたは、『冗談はよせよ』と笑うだけ。


 あなたにとって僕はただの“友達”とさえ見られていなかった。

 それが、どんなに悲しかったか……。


 僕はあなたに友達にさえ見られない。

 それがフラれるより辛いことをあなたは分かるだろうか……?


 僕の心に、ヒビが入る。

 あなたへの想いが、少しずつ崩れ落ちてまた、闇を描いていく。


 それでもまだ、あなたを想う“僕”がいる。

 あなたへの想いが全て崩れ落ちたのに、まだ僕の心はあなたを想っている。


『好きだっ!!』


 心があなたを叫ぶ。

 だから僕は、まだあなたを想う。


 あなたが僕のことを何とも思ってなくても、僕の気持ちは変わらない。

 あなたにストレートに何度も想いをぶつける。


 いつか、あなたが僕のことを好きになってはくれなくても。

 僕をあなたが友達と見てくれるまで――……。





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【 君 ヲ 想 ウ 自≪オノレ≫ ノ 心 】


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