第8話漆黒オーラの決闘

俺とゴブリンロードは漆黒、深淵のオーラをこれでもかと発動させる。そして俺のバチバチ、という雷のオーラとゴブリンロードのゴウゴウといった燃え盛るようなオーラがぶつかり合う。そのオーラはぶつかり合うたびに大きな衝撃波が周りを襲っている。そして何秒か経った頃、俺とゴブリンロードは一旦持っていた武器を引いた。


そして俺は漆黒の雷を利用して後ろに回り、首を刎ねようとするがゴブリンロードはそれに反応して俺のいる方向に拳を向けてきた。俺は咄嗟にその攻撃を防御するがかなり吹っ飛んでしまった。防御した腕が痛い。単なる攻撃だけじゃない、ゴブリンロードの燃え盛るようなオーラが俺に侵食してきている。耐えられているのは俺のオーラと力眼の一つ、耐性眼の力だ。


ゴブリンロードのオーラに侵食されているだけじゃなく、俺の現オーラは短期決戦向きだ。早く終わらせる、それが最適解だな。俺はそう考えながら天を鞘に納めてから拳で構えを取る。長期戦なら刀だが、短期戦なら拳が向いている。そう考えながら俺はダンジョンのクリア報酬であるスキル『超速』を使う。身体に超速が巡ると身体に異変を感じた。


ソレを気にしながらも俺は適応によって超速の効果を理解する。次の瞬間、俺はゴブリンロードの懐近くに移動をするのだが、ゴブリンロードは大剣を防御素材にしてダメージを薄くした。俺はゴブリンロードの様子を見ていると俺の身体に激痛が走った。当たり前か、紋章に雷の魔力、過剰雷帝化、深淵のオーラに悪逆オーラ、更に超速を使っているんだ。例え今の俺が雷人という半自然体といえども限界を超えた強化には変わらない。


やっぱりこの力、長期戦には向いてないな。マジで短期戦で終わらせないとやばい。自滅だけは勘弁だからな。俺はそう考えながら地面を蹴り飛ばす勢いでゴブリンロードの方向に移動する。先ほどよりもさらに速度を高めてから懐に潜り込んでから渾身の一撃を叩き込む。ゴブリンロードは腹に特大のを喰らって少し吹っ飛び、血を吹き出していた。予想はしていた、けれど硬すぎだろ!


そりゃあ攻撃を防ぐ脂肪が無くなったんだからそれに代わる防御対策が必要になるよな。俺はゴブリンロードの腹を殴ってジンジンしている拳を見てからゴブリンロードに視線を移す。 ゴブリンロードは顔に付いた血を拭いながらオーラを更に放出する。オイオイ、規格外が過ぎんだろ。こっちは動くたびに激痛が走ってるってのにさ。


そう考えているとゴブリンロードは所持した大剣を地面に突き刺すと身体全てにオーラを巡らせた。そして次の瞬間、拳と拳がぶつかり合った。

重い…………!ふざけてんだろ、こっちは何重も身体能力を強化してんのにそれで互角だってか?

……………………それでこそ燃えるもんだろうが!俺の感情が昂り、荒ぶっている。俺の血と魂がアイツとの更なる戦闘を望んでいる。


俺はそんな事を考えながら更に拳に力を込める。しかしその動作一つ一つでこの身に激痛が走る。さっきはこんなんじゃならなかったのにな。無理して戦ってきている代償が今ここに迫ってきたのか。それでも俺は足を動かし、拳を握る!俺はそう簡単に倒れるほど甘くはないぞ!


悠は無理をしている。それは悠も先ほど考えていた。だから短期戦に移行しようとした。長期戦では断然悠の方が不利だから。それは常人の考えである。ここまで悠は幾つもの壁を超えてきた。しかしそう簡単に常人から人外へと思考を変えることはできない。英雄や人から人外になった者も長年の時で自らの思考を変えてみせた。


力を得てから一年も経っていない、だから急に思考を変えるなんて無理で無謀な話…………それは悠以外だったらだ。ここまで狂人的な位に強さを求めているのは滅多にいない。というかポンポン居たら秩序が壊れる。話を戻そう。思考を変える、ソレは難しいかもしれないが成し得た時、悠の壁を壊し、更なる力を与える事だろう。


悠、お前の最後、勝者か敗北者、どんな道だろうと最後まで見てやるよ。だから俺様たち高位存在にお前の生き様を魅せやがれ。楽しみにしてるぞ、次期異次元の支配者。


俺とゴブリンロードが長くの間ぶつかり合っていると俺の身体は限界が来たのか更なる激痛が俺の身体を襲ってくる。そりゃあ、簡単に倒せるほど甘くはないよな。俺がそう考えていると身体に異変が起きる。不思議、それ以外言い表す言葉が見つからないのだ。先ほどから全身を襲っていた激痛が引いているのだ。そして更に気づいた事があるのだ。超速の限界容量が増えているのだ。


一体どうして…………?まさか俺の限界地点を越えたとでも言うのか?確かに土壇場で俺は幾度も限界を越えてきた…………だけど切っ掛けらしい切っ掛けなんか無かったぞ?俺の能力にもそれらしい事はなにも………まさか適応と最適化なのか!?俺の限界地点に適応して更なる力が出せるようになった?それだったらヤバすぎるぞ………!?


いや、何でも良いか。更にゴブリンロードとの戦いを楽しめる。俺は更に増えたオーラと魔力を纏わせてゴブリンロードに構えを取る。ゴブリンロードも構えを取り、限界突破の拳同士がぶつかり合う。周りに居る者の被害を考えていない暴力的な拳だった。そんじゃあ最終ラウンドといこうか、ゴブリンロード!

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