第4話到達者には到達者なりの戦い方がある

さっきの声が流れた時、俺は直感で理解した。

神の祝福の一つ、適応の効果でもあるんだろうな。


「さぁ、反撃開始と行こうか!」


そう言うと俺は邪妖精魔道士に向かった。

もちろん邪妖精防守が挑発で邪魔をしてくる。

けれど、俺の狙いは邪妖精魔道士じゃない。

俺の狙いはお前なんだよ、邪妖精防守。

邪妖精防守に俺は特殊な一閃を与える。


「武天流:次並瞬輪じへいしゅんりん四閃」


この技は並行世界の自分から斬撃を持ってくる。

けど、これは未完成だ。

本来ならば同じタイミングで斬撃が来るのだが、コンマ1秒遅れた。けれど今は問題ない。

邪妖精防守は今の技で切れた。


そして後ろからくる邪妖精暗殺者に向けて刀を持っていない左手を向けて技を打つ。


「武格『衝撃波インパクト』」


この技は未完成だし完成しても威力はでない。

けれど今はそれでいい!連携の要である邪妖精暗殺者を吹っ飛ばせれば連携は崩れる!

もう1人の邪妖精防守はもういないぞ!


邪妖精暗殺者を衝撃波で吹っ飛ばしたら邪妖精戦士に向かう。邪妖精戦士は斧を使って横に切ろうとしてくる。


「だけど爪が甘いんだよ、お前。

お前は自分の力を振るうことしか考えていない。

力を払うために協力する。相手が何をするかとか考えてないんだよ。だからこんな魔力を垂れ流しにしたままの初歩的な罠にも気付かない。さよならだダスヴィダーニャ。雷鳴魔法陣『雷竜昇りの電撃』」


邪妖精戦士の斧が俺に届く前に魔法陣から雷竜がでてきて邪妖精戦士を飲み込んだ。

俺はその後に後ろからくる攻撃を刀で受け止めた。邪妖精暗殺者が戻ったみたいだ。

結構吹っ飛ばしたはずなんだけどな。


邪妖精暗殺者は俺に攻撃を受け止められた後離れて行った。さっきまでの俺なら見えなかった、わからなかった。だけど今ならわかる。


「武天流我王我突がおうがとつ


俺は刀を後ろに向かって突き刺した。

その刀は邪妖精暗殺者の首を貫通していた。


「最後はお前だよ、邪妖精魔導士。

感謝をしとくとしようか。お前が、お前達がいてくれたお陰で俺は次のステージに進める。

まぁ、お前らは受け取りたくないと思うけどな。」


そう俺が言いながら邪妖精魔導士の首を刎ねた。

はぁー、疲れたー!連携ってやっぱり大事なんだな。まぁソロの俺には関係ないことだけどな。


『LV UP23→31

スキル悪意支配によりLVが上昇します。

LV UP31→45』


『武天流:『次並瞬輪』『我王我突』を習得しました。』


少し休憩したら探索を開始するか。

確かスキルの中に瞑想があったな。その間は悪意感知を発動させておくとするか。


ー瞑想中ー


よし、もしかしてとはと思ったがやっぱり瞑想は精神回復に繋がるな。

それじゃあ探索を再開するか。ここの階層のモンスターはゴブリンしか出会ってないんだよな。

ここはゴブリンの階層なのだろうか?

だったらゴブリンキングがいるのだろうな。


ゴブリンキング………モンスターの中で最強のキング種の一体。通常種のゴブリンとは次元が違うと言われてるんだよな。それは上位種ゴブリンも同じなんだが。しかし上位者ゴブリンに勝てたからと言ってそう簡単に勝てるかどうか。

強者と戦ったら更なる道も見えてくるというものだろ!そう考えながら探索をしているとゴブリンジェネラルを発見した。


やっぱりいるんだな。ゴブリンキングは。

ゴブリンジェネラルはゴブリンキングの右腕だからな。さっさと倒してゴブリンキングのところに行くとするか。沢山の上位種ゴブリンか………それだったらこれが一番合っているか。

雷魔法『雷帝の舞』


この魔法は身体強化だ。しかし雷魔法を使う時に使用する魔力の身体強化とは比にならない効果である。あれは魔力を使っただけだからな。

しかしこれは不完全といえども身体を雷に昇華させるのだ。お前らみたいな奴らに簡単に止められるほど甘くはないぞ!


そうして俺が目先のゴブリン一体に抜刀すると周りに暴風が発生した。上位種ゴブリン達が上空に舞う程の強大な暴風が。そしてそれを見逃すほど俺は甘くない。


「武天流『雷豪滅風斬』」


俺は上空に跳躍しながら技を使った。

身体能力が進化し、強化された俺の身体は空気を蹴ることができ、そのスピードは音速を優にこえる。

そして上空のモンスターを全員斬り終わる。

今の俺は不完全とはいえ雷だ。

ならばこういうことも可能なんだよなぁ!


「武天流『天雷地雷斬撃破』」


俺自身の雷を利用して飛ぶ斬撃を放つ。

放ったんだが………威力がありすぎて極大魔法にしか見えないなぁ。生き残ったのはゴブリンジェネラルだけか。そのゴブリンジェネラルも両腕が損失している。俺はゴブリンジェネラルにトドメを刺すために空気を蹴ってから近くに行き首を刎ねた。


『LV UP45→53

スキル悪意支配によりLVが増加されます。

LV UP53→67』


それじゃあ次に進むとしますかね。

俺が更に探索を進めると巨大で派手な装飾がされている扉を見つけた。ここがゴブリンキングの部屋だな。俺が扉に手を当てるとギギギと音が鳴って開いた。その扉の先には巨大なゴブリンが一匹王座に座っていた。


ハハ、なんで威圧感だよ。

これがキング種か。キング種と出会った者達が本当の怪物と呼んでいたのか分かった気がする。

俺は刀を取り出して斬りかかった。

ゴブリンキングは近くにあった大剣を持って受け止めた。それから更に力を込められて押されそうになった。ッ!これは不味いな。


一旦この押し合いをやめた方がいいな。

そう考えながら俺は雷魔法『瞬雷』を使って離れた。しかしゴブリンキングは俺を逃すまいと追いかけてくる。だったらこっちだって考えがある!

雷魔法『雷帝の舞』『天命雷戦』


俺はこの二つの雷魔法を発動させた。

どちらとも一つだけでは不完全な雷にしかならない。けれど両方を発動させることで俺は完全な雷へと昇華する!完全雷状態のメリットは三つ。

一つは身体能力の強化、一つは雷能力の効果上昇、最後の一つは一定のダメージを無効化になる。


だがこのゴブリンキング戦では全ての攻撃が俺に通る。特攻とかじゃなくて全部の攻撃が一定のダメージ以上だからだな。それじゃあ行くとしますかね!

俺とゴブリンキングは何時間も斬り合った。

たがどちらともダメージを与えることは出来なかった。俺が雷魔法を使った魔力も自然回復してるから何の進展もないんだよな。


そう考えていると俺の刀がピシピシと鳴った後壊れた。あ、やべ!流石に刀を酷使しすぎたか。

一様刀を研いではいたんだけどな。

ゴブリンキングは刀が壊れた俺に大剣を払ってくるが俺はその大剣を拳でぶっ壊した。

………………………これ拳で殴った方が強くないか?ゴブリンキングも驚いた後に呆れた目をしている。


「拳で殴った方が強いじゃねえかよ。

せっかく二番目に得意な武器を使ったのに意味ないじゃねえかよ。それじゃあ拳で殴り合おうぜ。」


ゴブリンキングはそう言った後に構えた。

まぁ、喋るよな。てかこれ拳の方が強かったってやつだよな。まぁ、それでいいか。強者と戦うために来てるんだし。そう思いながら俺とゴブリンキングの拳がぶつかると暴風が発生する。

これさっき俺が抜刀したやつと同じくらいの暴風なんだが。規格外すぎんだろ!


やっぱり速いなゴブランキングは。

あの巨体に似合わない速さだ。だからこそ最強と、キングと呼ばれたのだろうな。

それだけじゃない。技術も兼ね備えてるとか凶悪だな。だからこそ楽しい!だからこそ面白い!


「随分と楽しそうだな挑戦者チャレンジャー!」


「そりゃあお前みたいな強者に挑めるのだから、戦えるのだからな!強者に挑んでこそ意味がある、そう思わないか!」


「ハハハ!確かにそうだな!

それが一番得るものがあり、強者への近道だからな!」


戦闘しながら俺とゴブリンキングはそう話しながら拳と拳がぶつかり合う………ように見せてゴブリンキングの拳を受け流して跳躍をして顔の前に飛ぶ。

デカい魔法をぶち込んでやるよ。

雷魔法『天象空象雷王砲』


俺は雷魔法のとっておきを喰らわせる。

無防備の状態で喰らったのだからどんなダメージになったのか…………煙から現れたゴブリンキングは魔法によるダメージを受けて重症な魔法痕が残っていた。あの魔法痕を見る限り内部に結構なダメージを負ったみたいだな。


「カハハ!そんな魔法を持っていたとは驚いたぜ。

けどあれで結構な魔力を消費しちまったみたいだな。もう無理だろ?諦めろよ。」


「はぁ?寝言は寝てから言うもんだぜ?

俺は諦めない、諦めることなどあり得ない。

絶対にな。勝負はまだまだこれからだぜ?」


「フハハ!面白いことを言うではないか!

いいぞ!お前がそこまで言うのならば最後の最後まで乗っかってやろう!」


あぁ、最後の最後まで着いてこいよ!

まだ終わらない。俺とお前の戦闘はまだ終わらない!もっとだ、力をだせ!足りない?俺がいつそんなこと決めた!強者になるのだろう?

最強を目指すのだろう?だったらこんなとこでつまづいてる暇はねえんだよ!


『最強への欲望、意志を確認しました。

完全雷体から更なる進化を希望。

スキル天候を獲得。

本質の最適化を使用します。最適化によりスキル天候がスキル天候支配に進化しました。』


あぁ、そうだよ。俺の欲望も意志も全て使って最強になってやる。だからお前も犠牲になれゴブリンキング。天候魔法で使えるのは一回だけだ。

けれど今は、今はそれでいい!

天候支配『雷霆雷鳴天武劇』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る