94 セッタクの会、夜の部

 2024/11/22(金)14:43 かきはじめ

 ゲストは笑福亭喬明さん。


 開場前に並んでいると、演者とスタッフ専用出入口から桂八十助さんと月亭柳正さんが、ひょっこり現れた。

 柳正さん、こちらを見て「先日は、ありがとうございました」と爽やかに仰ってくださいました。京都の烏丸で挙行された独演会のことですね! あっ、こちらのエッセイには記録していなかったね。

「いえいえ! こちらこそです、いい会でした!」

 長身瘦躯イケメン男子が、ふた昔前の不良が着るようなファッション……いや似合うんだけど(笑)! 似合っちゃうんだけど、たぶん柳正さんなら何を着ても! わはは。

 とにかく会は始まるわけで(いつもの何様)。

 ギャラリーは、めいめいちゃん目当ておじさんが複数名。気持ち、わかるよ! 可愛いもん、めいめいちゃん。若くて可愛いお嬢さんらしく、ギスギスしているところが微塵もなくて朗らかさんですよね。きっと、ご両親の躾がいいんだろうなーなんて素直に感じる。


 一、トーク

 一、二人癖 八十助

 一、時うどん 喬明

 仲入り

 一、狸賽 喬明

 一、禍は下 八十助


「二人癖」

 これも久しぶりに高座にかける、と仰っていらした記憶が。なんとか「つまらん」と言わせたい男の数々に仕掛ける小細工が愉しい話。そっちは「のめる」って言ったらダメなんですけどね(笑)。八十助さん、御本人はドキドキしながらの高座だったらしいけれども、わたしに関して言えば終始わくわくしながら聴けました!

 わくわく感、これ一番大事よー。

「時うどん」

 古典落語、前座噺の鉄板スタンダード。だからこそ演者の個がダダ漏れなのではないだろうか? 

「引っ張りな!」

「そんなに、このうどんが喰いたいか!」

 いや当然でしょ(笑)なんせ、十六文のうどん代のうち八文も拠出しているんだもんね。とにかく、この兄弟分それぞれの表情がステキ。めいめいちゃん可愛らしさ炸裂ネタですね。

「狸賽」

 これも演者の個が滲み出てしまう、鉄板の前座噺ではなかろうか。自分の命を救ってくれた博打打ちのために、一所懸命がんばる狸が可愛い!

 まさか片面に七の目、反対側がゼロというサイコロを出すとは予想外でした、たのしい!

 喬明さんで、いつか「皿屋敷」とか観てみたいなあ。って思ったのは事実です、なんだか似合ってません? お菊さんが「やかましいわ! ぽんぽんぽんぽん好き勝手ばっかり言いやがってー! きーぃ!」とかキレてるところ。どう?

「禍は下」

 どんなワザワイもシタから……というのは真理であろう(何様)。この話でいえば丁稚の定吉が、上手に袴を畳み直せなかったのが運の尽きです。いつの時代でも、正妻さんは強いのです。うーん、戸籍って大事ね(そういうところじゃない)。

 できれば亭主が妾のところに泊まるとわかったときに、キレ散らかしてもいいんじゃないだろうかと感じるのは、聴く側のわたしが女だからなのだろうか。だとしたら合点がいきます。話を作ったのは男性だから。男って、女に本気で怒りを現わされたら怖いんだよね、きっと。



 追記:

 昨夜、あらためて。八十助さん御本人から「優美香さんの落語エッセイを見て、気になって……と言って、高座を観に来てくださる方が複数いらっしゃるんですよ。ほんとです」と伺いました。

 ひー。

 この一言に尽きます。身が引き締まる思いが致します。

 推しさまと未来の推しさまファンを繋ぐ、架け橋になれたらいいなあと思いながら今後も綴ってまいります。

 来週は希遊さん会、ゲストは桂小鯛さんだよ!




















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