47 2世芸能人への偏見が消えた(舞台っつか高座芸人に対して)

2024/02/27(月)20:32 かきはじめ ※ほぼ同じものエブリスタにも有


 喜楽館AWRADアワードファイナリストウィークと、銘打った興行がありました。02/26(日)から一週間、笑福亭たまさん主任になっています。

 喜楽館AWARDとは何ぞや? と万が一にでも読み手さまが混乱してはいけません。拙エッセイの「39 タイムフリーで云々」ご参照ください。

 たまさん自らのマクラだと「いつも喜楽館の出演者は上方演芸協会で決めるのだけれども、今回は自分でオファー致しました」とのこと。一週間を通じての演者は豪華絢爛なラインナップ!

 勤務しはじめた職場で、02/27は終日休みを入れさせてもらったので「いつもの」神戸新開地にある、喜楽館に行ってまいりました。

 新開地に寄る前に、三宮で下車して。以前の職場に通勤していたときに必ず参拝していた小野八幡神社に立ち寄りまして、はじめての御朱印を戴いてまいりましたよ。通勤していたときは「御朱印の授与をお願いいたします」などと言える余裕はなかったから、感慨もひとしおです。

 さて話を喜楽館に戻しまして。

 02/27(月)の一番太鼓は、笑福亭喬路しょうふくてい きょうじさんでした。爽やかな男前です。こちらがiphoneを向けたところ「にこっ」と笑顔を向けてくださいました。


 こんなに男前だったらモデルさんとか俳優さんを目指しても悪くなかったのではないだろうか……。


 この日の演目。


 開口ゼロ番 「看板のピン」 笑福亭喬路

 一、「平林」桂白鹿

 一、「GTA」桂三扇

 一、「太神楽」豊来家板里

 一、「稽古屋」桂米團治

 仲入り

 一、「鉄砲勇助」笑福亭由瓶

 一、「冒険せよ」桂三実

 一、「寝床」笑福亭たま


「看板の一」喬路さん初見。平成9年生まれってマ? て、なった。すんごい若くて爽やかさんなのにもかかわらず、博打の胴元を演じるときの風格と言ったら“す、末恐ろしい……”なんて思っちゃった!

「平林」文字が読めない丁稚さんが主人からことづかった、手紙の宛先を探し当てるのに右往左往するお話。白鹿さんの真摯さが光る一席。丁稚さんがとぼけるところや頭を抱えるところ、嘘八百を教えられるところ等々。ギャラリー全員が「わはははは」って、なってました。私服でのお見送りも、誠実で真面目なお人柄が伝わってくるようです。雪鹿さんの兄弟子だったっけ?

「GTA」グランドペアレンツアソシエーション、PTAの仕事をそっくりそのまま引き受ける高齢者父兄。新作落語ですね。女性落語家さんで、かつら・さんおうさん。めちゃくちゃキュートな女性でした。一体、どこまで話が拡がっていくんだろうって、ドキドキしてしまった! Dさんがまるきり受けないということもバラしてしまったりする(わたしも、つまんないって思う。嫌いじゃないよ!/汗 だって嫌いな人だったら、大事な自分のエッセイに名前も出さないもん!)。

 だいかぐら。ほうらいや ばんりさん。この御方も凄いよ! 元々、太神楽は獅子舞と同様に神社に奉納する芸事であったとのこと。ざっくり言うと、お正月に番傘の上に鞠や皿を載せて回すアレですね。きりりとした面差しの男性でした。演目ひとつひとつ終わる度に、ぱっと頬をほころばせる。そのギャップがいいー!

「稽古屋」これって、こんなに色っぽい艶っぽい噺だったの?! え、そうだったの! って、本当にビックリしました。米團治師匠は、昔のテレビ等で拝聴する故・桂米朝師匠とソックリでした。当然か! 息子さんなんだものね。でも、正直言って二世芸人って……今まで自分の身の周り等にいた人たちってゴミクズレベルだったから(あら、失礼。あの講談師も二世だったからさぁ/滝汗しつつも開き直り)ものっすっごく……大袈裟ではなく天地がひっくり返るほど、意外だったし。わたしは心底から「二世だから、と言って毛嫌いしてはいけないな……」と反省しました。まさに「認識せずして評価をするな」です。あの講談師は、二回も認識したけど(笑)。それと、米團治師匠のお着物姿が美しいことと言ったら! 高座だけではなく、普段の所作振舞いの些末にいたるまで厳しく躾けられたのかなあと感じました。そういえば、師匠である米朝師が亡くなられたのは……「小米朝」と名乗られていらした54歳か、55歳くらいのときですかね。我が身に置き換えて想像しただけでも、激しい眩暈のあとで引き篭もりそうだ。いや、引き篭もるか失踪するわ絶対。だって普通の胆力だったら耐えられない。本当に、ほんとうに。米團治師匠は凄い御方だと思います。

 仲入り後からは怒涛の展開すぎて、ほんとにすごかった。

「鉄砲勇助」笑福亭由瓶さん、初見でした。ゆうへいさん、とお読みするのですね。マクラにて、由瓶さんは

「あんなに色っぽい『稽古屋』観て、このあとは若手の三実くんが来て、若い芽は今のうちに潰しておかなあかんなって(笑)、トリがたまさん。ぼくのは『ひとやすみ』だと思って観てくださいね」と仰りつつ、大熱演してくださいました。やさしくて熱い心意気の噺家さんだなーって、笑わせてもらいながらも、しみじみ感じ入りました。好きになるに決まってるでしょ! ……関係ないけど鶴瓶さんって。弟子を育てる才能が溢れてる人だったのねえ(何様)。

「冒険せよ」三実さん、このネタ! キター!(絵文字略)って感じです。もしも残りの人生で餃子の王将での食事回数が60回くらいしかなくて、でも、いつも頼むのは餃子定食と炒飯定食とラーメン定食のローテーションだけだったらもったいないよね! いつもの自分、いつもの日常と違うことに手を出してみることを常時年頭に置くことは必要だなあって思うんですよね。

「寝床」トリのたまさん!

 浄瑠璃を聴かせたい大家さんと、聴きたくない店子さんやら取引先の攻防もさることながら、実際に大広間で浄瑠璃をガオガオと謳う大家さんと周囲の人たちの様子にギャラリー全員が大爆笑の連続でした。サゲは小僧さんの「ひとこと」じゃなかったけど、それが逆に味わい深くって。わたし的には大満足です。そして、やっぱり。たまさんは捌けていくときの背中も相変わらず、恐ろしくセクシーでした☆



 追記:明日は笑金さんだ! w

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