37 女性落語家の底力を見ました!

 2023/11/10(金)22:44 かきはじめ。


 昨日、地元寄席の夜席に参戦いたしました。

 昼は月亭天使さん一人会、夜は天使さん&露のなつめさん二人会でございます。

 正直言って、わたし。故・談志師匠の仰っていらした

「女の子に落語は無理、無理だから」

 って言葉を、この御二人をナマ体験するまでは「うーん、たしかに。あるよなー」と心の中で八割ほど“信じて”ました。んまあ、談志さんの血脈である談春師匠の唯一のお弟子さんは女性なんですけどね(汗笑)。そのお弟子さん「小春志」女性落語家さまの存在が、気持ちの隅っこに引っ掛かってて

「月亭天使さんと棗さんが来てくださるの! それは観に行かねば、だわよ!」

 なんて衝動が自分のこと支配しちゃったわけです。


 夜の部はギャラリー側にスーツ姿のオッサンwが何人もいらっしゃいました。天使さん綺麗だし棗ちゃん(あえて“ちゃん”付けで呼ばせていただきたい心境)可愛いもんなー! 女性客の大半も昼席の天使さんも観ていらした様子。そのままの流れでウキウキワクワクしながら夜席に突入しました(はぁと!)みたいな雰囲気。とても温かい空気が、たっぷり……そこへ初見のわたし。わたしも、もちろんワクワク!

 何日か前に、ひとり呑みしていたときにカウンター隣。老いらくの見た目六十代後半イケオジ経営者風味とガリガリに痩せた四十代後半女性の不倫カップルがテーブル下で手なんか繋ぎながら蘊蓄垂れたりキャピキャピ頷きあったり、イヤーも―気持ち悪かった!

 なんつーか、もうちょっとオマエラ慎ましくできんか? 不倫するなとは言わん。でも、もう少し慎みを持てないものか。しかも、いつのまにか店内がらんとしてんの。要は、わたしと、そいつらしかいないわけ。蘊蓄オジジとキャフキャフガリガリ女に邪魔にならんように、他の客も全員帰っちゃったわけよ。

 めっちゃ気分悪かったわ……あくまでも私バイアスだけど。店長も気を遣えよ少しはよー。

 そんな記憶の奥底まで、コールタールがもたれてしまうような後味胸糞気分を吹き飛ばしてくださるような落語会。

 オッサンたちのメロメロデレデレ具合と清潔感あふれる天使さん&棗ちゃんのホンワカ佇まいが非常によかった(自分的な記録)!

 さて、あくまでも棗さんはゲストという御立場で。「ふぐ鍋」を披露してくださいました。

 帯のパンダ模様がとても可愛い。それだけじゃなくって、棗ちゃん全身から溢れるほっこり感が演目「ふぐ鍋」の面白さを充分に楽しませてくれる。以前に桂弥壱さんで拝聴した同演目とは違う味わいがありました。弥壱さんも素敵よね! この御方もわたしは、ばちくそ推し。無料で見せるな、その芸を! と思っちゃった近所の公民館催事に来てくださったときに痛感したってのが彼よー(わたしの眼に星粒の集団がwww)!

 天使さんが披露してくださったのは「新聞記事」それと、大ネタ「たちきれ線香」でした。

「たちきれ線香」一度聴いてみたかったネタだったんですよね。冒頭、天使さんが元々は上方落語なんですよー、それでなくても上方落語には人情噺が少ないんですーと仰ってました。

 拝聴いたしました感想を、速攻でインスタに上げました。


煙管きせるの一連の仕草が、すごいキレイだった

ギャラリー全員の心を持って行ってくださり

しかも悲しいストーリーなのに多幸感という不思議な空気を醸し出す』


 んで後日。ウィキペディア「たちぎれ」で調べてみて、ちょっとビックリ。わたしの推察も、まんざらでもないかなーみたいな(笑)。

 ウィキペディアにもありますが、この物語は演者側にとって非常に難しい話なのだ。

 人間国宝・桂米朝が演じなければ、「たちきれ線香」は上方落語に残っていなかっただろう、と言われる大ネタ。実際に月亭天使さん……若旦那がイキりたつ場面、番頭さんが上目遣いで若旦那を見つつ、ぶつくさと言う場面は演者の力量が問われるところでしょう。ストーリーが進むにつれての節目節目で、観ている人たち(もちろん、わたしも含めて)の空気がね。そのたびにガラリと変わったのね。

 わたしの頭の中は、ずーっとパニックでした。

 この迫力は、なんと言語化したらいいのだろう。そればっかり考えていた、そして脳みその中にある少ない語彙を探し当てることを一切やめた。

 そんな物凄い体験をさせてくださったのは桂笑金さん「トランポリン」以来だ。



 


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