06 年甲斐、なんて言葉はスルーで!

引き続き月亭希遊さんと桂八十助さんのこと


2023/06/16(金)


 話は少し戻ります。

 地元寄席で月亭希遊さん会ゲスト桂八十助さんのイベント、一か月前の5月16日は神戸新開地・喜楽館に桂八十助さん御出演されました。

 喜楽館は新人さんが一番太鼓を打ち、開演前の高座で「開口ゼロ番」という呼び名の出演枠があります。

 喜楽館の入り口前で太鼓を打ってくださるのです。それは、ある意味シャッターチャンス! 宵えびす1月9日の日に「こんな人、実際にいるんだ……!」「こんな人になりたい……!」と強く思わせてくださってから、約半年。

 さてさて太鼓を打つために出て来られた八十助さんは……わたしが1月に観た御方とは、前髪を下ろしているせいか童顔に見えて。あれっ、あの人だったっけ? いいや違う、でも番組表にはあの人の御名前がある……。

 薄い藤色というかピンク色というか、お着物の色もあいまって……わたし頭の中でむちゃくちゃに混乱しましたよ。

 けど、どうやら八十助さん御本人らしい。

 うーん。

 前髪の上げ下げひとつで、こんなにも印象が変わる人だったのかー。

 すっごいなあ。

 ……で、希遊さん会で出て来られた八十助さんは、1月に認識した「あの人」そのものでございました。ふんわりとやさしくて、控えめで温かい御人柄が希遊さんとの会話の端々から伝わってまいります。

 好きでいてよかったー。


 月亭希遊さんについて。

 ありあまる天性の光り輝くものを、努力でひたすらに伸ばしてきた感が満載の噺家さんだと感じます。

 5月は新作「なにわ武士」と古典の「くっしゃみ講釈」を披露してくださいました。

「なにわ武士」浪花節エッセンスを、ぶっとんだ発想で落語に落とし込んできた……というのが印象。あれはホントに凄い。大阪にいて大阪のルールを守らない人に「なにわポイント」を剥奪にしにくる、なにわ武士。

 新作落語は作った人のセンスや感性が如実に現れる。きっと、この人は元来から「周りの人を楽しませよう」という性分の男性なのだろう。

「くっしゃみ講釈」忘れっぽい主人公に兄貴分が、のぞきからくりの演目『八百屋お七』の登場人物を謳ったメロディーを教えて「これから連想すれば思い出すだろ?」という場面があるのですが……この節回しを延々と八百屋の店先で主人公が歌うのです。ここがコッテリしていると、観ている自分は非常に疲れるんですよ。コッテリ演じてくださる噺家さんも有難いのですけれども……(何様)。

 希遊さんは最初から最後まで、気持ちよく演じてくださいました! これも演者のセンス!

 ほんとにカッコいい人だなー、とつくづく感じ入った次第。

 そういえば、どなたかは忘れたけれども「落語はリズムとメロディー」と仰っていらしたそうです。その言葉の意味が、希遊さんの落語をナマで体験するとわかります。

 



 



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