第8話


「戻りました」

「樋山、お前配信出てたのか?」

「そうですけど、岩沢さんに呼ばれたので行ってました」

「誰だよそれ。聞いたことないぞ、B級らしいけど」

「配信見てください。ワーウルフの時の」


 樋山が待つこと数十分。

 部屋に戻っていた為、どたどたと外から聞こえてきた足音が自分目当てだと理解した。


「おい、何だアイツ。ワーウルフの強化種が一撃じゃねぇか」

「そういう人なんですよ。B級なのだって昇格試験が面倒だからですよ」

「おい、うちに誘ってこい」

「無理ですよ。魔力潤滑煙草1200本要求されるんですよ?」

「1億2000万円はムリだな」

「そもそも、どこかに所属する気はないんですよ。高校卒業してから4年ソロ探索者だったんですから」

「他のチームも知らなかったのは、どうしてだ?」

「等級相応の魔石しか売らずに、素材を個人で売買してたのが多いと思いますね」


 ダンジョンで出会って助けてもらった時、要求されたのは素材だった。

 何なら魔石の交換をして、素材を大量に取って行ったのは良く覚えている。

 配信で言っていたように、ワーウルフの素材は良く卸していたし、紹介もしてもらった。

 

「今度、会うタイミングで一緒に行ってもいいか?」

「無理だと思いますよ」

「どうしてだ?」

「岩沢さんの知り合いが、会おうと動いているからですよ」

「普通に会えばいいだろう?」


 樋山に話しかけるその顔は、本当に理由が分からないといった風だ。

 

「普通に会おうとすれば、目立つ人たちだからですよ」


 〇


150:名無しの探索者

岩沢、知ってたか


151:名無しの探索者

アイツくらいなら、知られてるだろ


152:名無しの探索者

樋山の腰が低かった件


153:名無しの探索者

年上なんじゃ?


154:名無しの探索者

樋山との戦闘で顔出たけど、そうかもな


155:名無しの探索者

コラボあるかな?


156:名無しの探索者

増えるかもな


157:名無しの探索者

でも岩沢とのコラボだろ


158:名無しの探索者

配信部同士のコラボが見たい


159:名無しの探索者

岩沢呼ばれたらコラボ行くのか?


160:名無しの探索者

さあな、過度な面倒臭がりだからないんじゃね


161:名無しの探索者

樋山以外の上級探索者知り合いいそうだな

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