第2話 事故を起こす未来しか見えない
検索結果がモニタに表示された。
まあ、上から見ていけばいいだろう。
手始めに厚生労働省のサイトから見てゆく。リンクをたどりハロワのサイトなどをサーフィンして、情報を集める。
…うん、正直わかりにくい。
偏見かもしれないが、公的サービスのサイトはどれもこれも痒いところに手が微妙に届かないようにわざと設計されているように感じる。
リンクを踏んでいくと、数回前に開いたサイトに戻るようなことがよくある。実際の役所の窓口でたらい回しに遭う話は聞くが、どうやらWeb上でもその伝統は息づいているらしい。
10分ほどクリックとスクロールを繰り返して、ようやく住んでいる地域の訓練一覧ページに辿り着く。
「おお、結構あるんだな」
モニタには、ページをスクロールせねば見切れないほどの訓練名が並んでいた。
・基礎から学べるPC実践科
・パソコン・簿記科
・実務経理科
・介護職員初級研修科
・スキルアップPC科
・産業重機訓練科
・
・
・
コース名から判断するに、やはりパソコン技能や介護に関する講座が多いようだ。NC旋盤や重機のオペレータを育成するコースも散見される。
(重機に旋盤か…)
フォークリフトやショベルカーに乗っている自分や、旋盤を扱っている自分を想像してみる。
…うん、事故事例の登場人物になる未来しか見えないな!
自慢ではないが、俺は本当に不器用だ。大きな車なんて擦ったりぶつけたりが怖くて運転できないし、電動ドリルだって満足に使えない。
手に職分野は適性の面から遠慮するとして、介護はどうだろうか。子供の頃はじいちゃん子ではあったが、他人を甲斐甲斐しく世話できるとは思えないな…。ストレスも多そうだ。
実に消極的な理由で、俺はPCスキルを学ぶ講座を選ぶことにした。
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