第24話 此処にある物


うふふっ、本当に夢みたいだわ。


素敵な旦那様に、冒険者生活…此処には私が欲しかった物が全部ある。


「セレスくん、おはよう!」


「おはよう、静子さん」


「う~ん、もう結婚したんだし、そろそろ静子さんじゃなく『静子』って呼んで欲しいな」


「だけど、俺は、静子さん…尊敬の意味を込めて、そう呼びたいんだ…駄目かな?」


「駄目じゃ無いけど…まぁ良いわ、いつかはちゃんと、静子って呼んでね」


「解ったよ、静子さん」


うんうん、凄く初々しくて可愛い。


可愛くて、強くて優しい旦那様だわ。


「それじゃ、早速シャワーでも浴びよう」


「うん、そうだね」


朝は一緒にシャワーを浴びて、お互いの体を洗いあう。


そして…


「う~ん、凄く気持ち良いわ」


「何処か気になる所とか痒い所は無い?」


「うん、特にないわ…凄く気持ち良いわぁ~」


セレスくんは凄く丁寧に私の髪を洗ってくれる。


私もセレスくんの髪を洗ってあげるんだけど…


私は駄目だぁ~


セレスくん程は上手く出来ないわね…それでもセレスくんは笑顔で喜んでくれる。


「そう喜んでもらえて嬉しいよ」


「これで、喜ばない訳ないわよ、この風魔法で髪を乾かして貰うのも、この後の化粧水を刷り込んで貰えるのも、最高だわ」


あの子たちは本当に馬鹿なのかしら?


こんな事出来る人間は居ないわ。


それこそ貴族つきの美容係並じゃない…


「喜んで貰えて良かった」


「だけど、此処迄してあげていたのに、良く追放なんて出来た物ね…」


「はははっ、流石に此処迄はして無いよ? 洗った後の髪を乾かしてセットして化粧水はあげていたけど、その位だよ、流石に体は触れないから…」


まぁ、そりゃそうよね。


「そうね…ありがとう!それじゃ、これからご飯…」


「昨夜、暇だから、サンドウィッチを作って置いたんだ、だからスープだけ作ってくれる?」


「解ったわ」


ただ、生活している。


それだけで楽しいわ。


◆◆◆


「あの、セレスくん、本当に海水浴に行くの? これ透けて恥ずかしいんだけど?」


「ゴメン、この世界の水着は、そういう奴だなんて知らなくて、だけど、静子さんは綺麗だし…うん、似合っているよ」


この齢になって水着を着るなんて思わなかったなぁ~


まぁ、なんとなく想像はついていたんだけど…


お刺身を食べていた時にセレスくんが羨ましそうに、水着の男女見ていたからなぁ~


うん、うん仕方が無い。


結構、体型が崩れていて恥ずかしいのよね。


だけど、セレスくんは、気にしない処か、この体が好きなんだから仕方が無いわね。


「そう? それなら良いけど…うふふっ、それじゃ泳ごう」


「うん、そうだね」


顔を赤くしながら手を差し出してくるセレスくんが凄く愛おしい。


セレスくんは、私が過ごせなかった、楽しい期間を取り戻すような甘い日々くれる。


これが凄く楽しい。


「セレスくん、何で顔を赤くしているのかな?」


「だって静子さんの水着姿なんて初めてだから…その」


「そう?!だけど、裸も見ちゃっているし、結構過激な事している気もするんだけどな…」


やる事やっているし…ううん今日だってしっかりしたのに…こういう方が刺激的なのかな?


確かにスケスケだけど?


「まぁ、それはそれ、これはこれ…凄くセクシーで綺麗だよ」


「うふふっ、嬉しいわ…それじゃ泳ごうか?」


「そうだね! うん泳ごう!」


冒険も楽しいけど、バカンスも…凄く楽しいわ


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