第20話 新婚旅行
「セレスくん、こんなにお金使って良いの?」
セレスくんと帝国への旅に出てから、毎日が信じられない位、素敵で豪華な生活を送らせて貰っている。
村に居た頃は勿論、冒険者時代でも、こんな生活した事無いわ。
「新婚旅行みたいなものだから、今は良いんじゃない?!」
新婚旅行?
新婚旅行って何かしら?
「セレスくん、新婚旅行って何かしら?」
「新婚旅行って言うのはね、結婚した男女がそのあと旅行に…」
異世界って凄いわね。
セレスくんの前世の世界だと、結婚した後夫婦の絆を深める為に旅行に行くんですって…
そんな風習があったのね。
そう言えば、私が小さい時お婆ちゃんも言っていた気がするわ。
そうかぁ~新婚旅行ね。
セレスくんと一緒に居ると、毎日が凄く新鮮で楽しいわ。
◆◆◆
オーダーワーラという街に来たわ。
この街に入ってから、凄くセレスくんのテンションが上がっている。
宿をとった時から目がキラキラ輝いていたし、食堂に入ったら感動して泣きそうになっていたわ。
◆◆◆
「うん、凄く美味いわ…お魚って生で食べられるのね…しかも一口大のライスに乗っていて、少し酸っぱいけど、これも良いわね、最高!」
「これはね、お寿司って言うんだよ、海があるから海鮮も食べられるとは思ったけど、まさかお寿司や刺身まであるとは思わなかったよ!だけど、静子さん…よく食べられるね」
「うん!癖があるけど凄く美味しいわ、このショーユっていうソースもうん、美味しいわ」
セレスくんは驚かそうとして、いきなりこれを頼んだのよね。
こういういたずらっこな所は子供の時と変わらないな。
こういう言い方は良くないかも知れないけど、セレスくんって『理想の夫』と『理想の息子』その両方でもあるのよね。
一緒に居るだけで、凄くほっこりするわ。
だって、此処には私が欲しかった物が全部あるんだもの。
「此処のお店で出てきた料理は、俺の前世の料理に近いんだ、見た瞬間、驚いたよ」
「そうね、そう言えば、子供の頃、カズマ(村の食堂の経営者 剣聖リダのお父さん)くんの所に沢山レシピを持ち込んで色々な料理を作っていたもんね」
「うん、だけどジムナ村じゃ海が遠いから、これは作れなかったし、食べられなかったんだ。まさか食べられるとは思わなかったよ…天ぷらも頼んで良い?」
「食べられるなら良いわよ? 今日は特にやる事無いんでしょう?」
「うん…凄い事に畳の部屋がある宿もあったし、温泉もあったから、食事が済んだら、少し散歩してゆっくりしようかと思っているんだ」
「そうね、流石は転生者ね、こう言うのが好きなのね!」
「勿論…静子さんは嫌いだったりする?」
「いえ、嫌いじゃないし、どちらかと言えば、珍しいって感じるのよ?! 冒険者時代にはこう言う観光地にも来たけど、やはり無難な普通の宿に泊まって、普通の食事をして、飲み物はエール。態々、変わった物を頼まなかったと思うわ!多分、セレスくんと一緒じゃ無かったら、こう言うのは頼まなかったわね」
「はははっ、日本食は少し癖があるからね。」
楽しそうに料理を頼むセレスくん。
勧めてくれる料理は全部美味しかったけど、塩辛と納豆は駄目だったわ。
特に納豆は腐った豆なんて食べて大丈夫かしら? まぁお店で出すんだから大丈夫よね!
誰かと一緒に、旅行を楽しむ生活なんて、本当に久しぶりだわね。
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