第12話 2人が結ばれた日


ハァ~これで逃げ場は無くなったわね。


『本当に好きな子』が出来るまでの偽りの恋人それで良かったのに。


こんなおばさんがそれ以上なんて望んじゃいけない。


いつかきっとセレスくんが後悔する時が来る。


だからそう答えたのに、まさかネックレスまでくれるとは思わなかったわ。


大体、こんな扱い私はされた事がないわよ。


前の夫のセクトールは浮気ばかりして私には殆ど何も買ってくれなかったわ。


村の女なんてこんな物、そう思っていたのよ。


確かに小さい頃から「好き」「結婚したい」なんて言っていたけど…本気だと思わないじゃない?


だってセレスくんがそう言っていたのって5歳位からなんだよ。


しかもこっちはもう20歳近いおばさんだったし。


※この世界の人族の寿命は50歳位10代後半で年増扱いです。


セレスくんは早くにお母さんを亡くしたから寂しいのかな、そう思っていたのよね。


大体ミサキさん(マリアの母親)達にも似たような事言っていたしね。


だけど、今思えば心当たりはあるわ。


良く川魚を焼いた串焼きをくれたし、川で綺麗な石を見つけたと言ってはプレゼントしてくれたわ、それに、息子のゼクトと違ってよくお手伝いもしてくれていたわね。


『凄く良い子』『ませているな』そう思っていたけど…


多分、あの時から…本気だったんだ。


今思えば、本当に子供だったけど、夫よりも息子よりも、ううん誰よりも優しかったわね。


此処まで愛されていて受け入れない…そんな事は出来ないし、したく無いわ。


受け入れるのは決定。


だけど、ずっと使って無かったから手入れしてないわ。


最後にしたのは、うふふふっ、もう前過ぎて解らないわ。


多分、10年位してないような気がするわ。


伸びきった毛は切ったけど、流石に体型は崩れた気がするわね。


この体で10代半ばのピチピチの男の子を受け入れるのかぁ~


本当に良いのかな?


ガッカリさせたく無いわ。


だけど…望んだのはセレスくんだもん。


仕方ないわ、せめて10年前ならと思ったけど、その時のセレスくんは4~5歳なんだから無理だわ。


これ以上待たすのも悪いし、覚悟を決めるしかないわね。


「セレスくん、もう私お風呂終わったから、今度はセレスくんが入って」


もう後戻りは出来ないわ。


◆◆◆


バスタオルを巻いてそのまま毛布にくるまったわ。


後はセレスくんが出てきたら「おいで」そう言うだけで、総てが始まってしまう。


多分、セレスくんは初めてよね…良い思い出になると良いんだけどな。


「静子さんお待たせ」


もう…受け入れるしかないわ。


「セレスくん…来て」


ミルナさん(セレスの母親)ごめんなさい…


セレスくんは優しく私を抱きしめてきた。


「あの、セレスくん、私久しぶりだから…優しくしてね? やり方は解る?」


頷きながらセレスくんはキスをしてきた。



気がつくと私はセレスくんの全てを受け入れていた。


今迄の人生でこんなに私に夢中になってくれた人は居ないわ。


よくもまぁ、こんなおばさんを好きになったものね…そう考えるのはセレスくんに失礼よね。


セレスくんって凄いわね…10年以上も私を好きでいてくれたんだから。


此処迄想われているなら、もう応えるしかないわ。


「セレスくん、愛している...心から愛しているわ」


私はセレスくんを自分から受け入れ抱きしめた。


私は貞淑な妻だと思っていたわ。


元夫のセクトールに抱かれた時に良く『つまらない女』と言われたわね。


だけど違うじゃない…セレスくん相手なら此処迄、愛しあえる。


きっと、セクトールがつまらない男だったから私も『つまらない女』だっただけだわ。


心地よくて頭がぼうっとしてきた。


幸せ過ぎて怖い位…




「あれっ、セレスくん、私…」


セレスくんが私に腕枕をしてくれている。


「もしかして、私気を失っていたの?」


「そうみたい…気を失ってそのまま寝ちゃてたよ」


「それでセレスくんは、どうしていたの?」


「静子さんが可愛らしかったから、そのまま寝顔をつい見続けちゃった」


「まさか寝ないで、見ていたの? 恥ずかしいわ」


窓の明かりを見るともうお昼位になっていたわ。


朝どころかもうお昼か…凄いわね。


私が起きようとすると、セレスくんに手を掴まれた。


「もしかして、まだしたいの?」


セレスくんはニコリと笑い無言で私を引き寄せコクリと頷いた。


女として求められていると解ると嬉しくて仕方なくなる。


私はきっともう…セレスくん無しでは生きていけない。


セレスくんに本当の女の喜びを教えられちゃったから。


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