第13話 理想のパートナー
凄いわぁ~毎日が楽しすぎるわ。
「静子さん凄くご機嫌だけど? どうかしたの?」
『どうかしたの』じゃないわよ。
それはねセレスくんが居るからだわ。
「それはね!うふふっ、セレスくんが居るからよ」
『朝シャン』って言うんだって。
髪の毛をねセレスくん特製の洗髪薬で洗ってくれて、風魔法で乾かしながら梳かしてくれるの。
それが凄く気持ち良いの。
こんな事してくれる旦那なんて多分何処にもいないわね。
断言できるわ。
村長さんの息子夫婦が仲が良いって聞いたけど、そんなの比べ物にならないわ。
これでご機嫌にならない訳ないじゃない。
「そう言って貰えると凄く嬉しい、やりがいがあるよ」
本当に、バカ息子とその仲間は本当に礼儀知らずだわ。
よそ様の子を悪く言いたくないけど、こんなに尽くして貰えているのにお礼一つ言わなかったんですって
ハルカさん(リダのお母さん)が見たらきっとビンタだわ。
私だってゼクトにゲンコツ位は落とすわね。
だけど、ゼクト達は大丈夫なのかしら?
全員、家事は真面に出来なかったわよね?
マリアちゃん(聖女)なんて村で唯一の食堂の娘なのに、良く肉を消し炭にするから皿洗いしかさせられない…ハルカがそう言っていた記憶があるわ。
幾ら私達が教えても壊滅的に3人とも家事は駄目だった記憶があるわね。
ゼクトも同じだわ。
きっと今頃困り果てていそう…まぁ追い出したのは向こうだから気にしてあげる必要はないわね。
「本当にありがとう、気持ち良かったわ」
「良かった、それじゃ俺は食事の用意をするから、化粧水を使って、やり方はこの間教えた通りだから」
「解ったわ」
この化粧水が凄いのよ!肌に染み込んでいって気持ち良いわ。
これもハーブから薬草から全部セレスくんがオリジナルで調合しているんだって。
昔から凄く『良い子』だとは思っていたけど益々磨きが掛かっているわね。
化粧水でのお手入れが終わったら、これまたセレスくんお手製のコロンまで用意されているのよ。
これもハーブの良い匂いがして気分が凄く良いのよね。
「静子さん、朝食が出来たよ」
ご飯を作るのは交代、交代なんだけど…可笑しいわよね。
普通の男は、そんな事してくれないわ。
セクトールやゼクトなんて私が熱を出して寝込んでいても平気で『ご飯まだ』なんて聞いてきて作らされたもの。
思いやりが全くないわね。
なのに、セレスくんと来たら。
『俺も静子さんの喜ぶ顔が見たいから作らせて…だって』
こんな男性、普通は居ないわよ。
しかもその言ってくる相手が、若くて凄くカッコ良いんだから、これで笑顔にならない訳ないじゃない?
こんな、蕩けるような生活でご機嫌にならない女なんて居ないわ。
「うん、凄く甘くて美味しいわ…まるで高級レストランで食事しているみたい」
「手抜きフレンチトーストに鶏肉と野菜のトマトスープ、川魚のムニエルだから完全に手抜きだよ、流石に宿にいる時みたいなものは無理、静子さん褒めすぎだって」
「そんな事ないわ、いつもセレスくんには驚かされてばかりだわ」
「俺にとっては静子さんが作ってくれるご飯の方が懐かしい味で好きなんだけどね」
「そう、あんな物で良いなら幾らでも作ってあげるわよ」
「それじゃ、お昼を楽しみにしているね」
「うふふ、任せて腕によりを掛けてつくるわ」
私は昔から笑顔でいようと努力してきたわ。
『嫌な事があっても笑顔でいた方が得だよ』
これはサヨさん(メルの母親)から教わった事だ。
だけど…いつしか心から笑わなくなっていたわ。
だけどセレスくん相手じゃまったく違う。
心の底から毎日が楽しいし、こんなに優しくしてくれて、夜は激しく求められてこれで好きにならない女なんて居ないと思う。
本心から楽しくて笑っていられる。
もうセクトールもゼクトもどうでも良いわ。
多分もう私は母じゃない。
もしゼクトとセレスくん二人が死に掛けていたら迷いなくセレスくんを取るわ。
私はセレスくんの女だもの。
「凄く楽しみだな」
「任せて頂戴」
笑って微笑んでくれるセレスくん以上に大切な者なんてないんだから。
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