第6話 顔が赤くなっちゃったわ


「静子さん! ちょっと待ってて!」


「セレスくん!」


走って行ってしまった。


慌てて走っていったセレスくんは奴隷商人の手を掴み走ってきた。


「この人買います! 幾らですか?」


奴隷商人がカギを手にして南京錠を開けた。


この檻からようやく出られるのが…凄く嬉しい。


本当はすぐにでもお礼が言いたかった。


だけど、私はまだセレスくんの奴隷じゃない。


だから、お礼を言いたいのをグッと堪えました。


「奴隷の代金が銀貨5枚で奴隷紋が銀貨3枚です」


私って…そんなに価値が無かったのね。


買い取り値段が銀貨1枚だから、そんな物なのかな。。


「銀貨?!何故、そんなに安いんだ!」


「セレス様、私はこれでも国から免許を頂いた奴隷商です、だからお客を騙して高く売りつけたりしないだけです!この奴隷で言うなら、珍しいですが人気の無い黒目黒髪、そして経産婦の高齢の村女、この位が妥当な金額です」


「それなら全部で金貨1枚払うから、彼女にシャワーと真面な服を用意して欲しい」


シャワーを浴びれるんだ…気持ちよさそうね。


冷静になって自分を見たら、恥ずかしくなって来たわ。


私、凄く汚いし、みすぼらしいし…


「ただ若い子用の服しかありませんが宜しいでしようか?」


「取り敢えず、それで良い」


このボロキレみたいな服ともお別れね。


「それじゃ、こちらの皿に血を少し下さい…奴隷紋に使います」


「ああっお願いします」


セレスくんから奴隷血を貰い、奴隷商人が私の右腕に奴隷紋を刻んだわ…これで私はセレスくんの奴隷、そう言う事ね。


「あの…もう話しても構わないでしょうか?」


「もう、貴方は商品じゃない…ご自由にどうぞ」


「セレスくん、取り敢えずお礼を言うわ…そのありがとう?」


「静子さん…」


「それではセレス様はサロンで飲み物でも飲みながらお休みください…静子さんは此方へ…」


もう奴隷商人の物ではない。


だから、静子さんなのね。


◆◆◆

蛇口をひねるとお湯が流れるシャーという音がシャワールームに響く。


「う~ん凄く気持ち良いわね」


久々に浴びたお湯は本当に気持ち良い。


こんな当たり前の事が、本当に幸せに感じるのね。


うふふっ、まさか本当にセレスくんに買われちゃうなんてね。


どう接してあげれば良いのかな


奴隷だからご主人様として接するのは当たり前だけど、セレスくんが私に望むのはなにかしら?


やっぱり…母親なのかな。


シャワーを浴びてスッキリした私は置いてあったバスタオルで髪から体まで…拭いたんだけど…


嘘よね…私、これ着るのよね。


若い子ようの服、そうよね、奴隷商人が用意した服だもん。


当たり前だわ。


胸を凄く強調したデザインで胸の谷間が見えて、スカートなんて普通に歩くだけでパンツが丸見えじゃない。


せめて10年前なら兎も角、この齢でこれ?


着るしかないわね…


着てみて解ったけど、歩く度に下着が丸見えで、しかもその下着も透けているじゃない。


◆◆◆


そのままセレスくんの元に行ったのだけど…


顔を見た瞬間、火を噴きそうになったわ。


「あまり見ないでね…凄く恥ずかしいわ」


「静子さん、ごめん…此処を出たら新しい服を買いに行くから」


顔を真っ赤にして鼻を掻いているセレスくんを見ると恥ずかしさがこみ上げて来るじゃない…


「そうね…こんな、おばさん買って貰って悪いけど、これは恥ずかしいわ、そうしてくれると助かるわ」


本当になんて恰好なのよ…顔が赤くなりセレスくんの顔が見られなくなっちゃったわ。





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