第4話 奴隷生活 人生を諦めた日


うふふふっ、酷い話だわ。


私、銀貨1枚のはした金で売られちゃったんです。


『銀貨1枚』


そんな金額なのね…おばさんだからそんな物なのかな。


冒険者だったら金貨30枚とか価値があると思うんだけど…


冒険者証も辞める時に返納しちゃったから、説明したけど信じてくれなかったわ。


まぁ良いわ。


高く買われて、命がけの仕事を毎日する位なら『家事奴隷』の方が良いかも知れない。


うふふふっ30過ぎの、普通のおばさんなんて、こんな物ね。


『女盛りは19歳まで20歳超えたら女としての価値は急激に低くなる』


この世界の常識だから仕方がないわ。


※この世界の人族の寿命は50歳位が平均です。


性処理奴隷として売られて好きでも無い人に体を開かなくちゃならない…娼館に買われて毎晩男の人の相手をしなくちゃならない。


それを考えたら、うふふふっ!おばさんで良かったのかも知れないわ。


『家事奴隷』だから、そういう義務はないわ。


これだけが唯一の救いかな。


まぁ、こんなおばさんの体、誰も抱きたいと思わないでしょうけど。


◆◆◆


うふふふっ、辛いわね。


奴隷って売値で扱いが違うのね…


エルフや令嬢の奴隷は個室の牢屋が与えられていてベッドもあるわ。


絨毯まで敷いてあるし、美貌の維持の為かシャワーも1日1回浴びれるし、2回の食事に果物までついているのね。


若い女性の奴隷は1部屋辺りに3~4人入っているけど毛布も貰えて食事も日に一回真面な物が貰えているわ。


だけど、私みたいなおばさんの家事奴隷は1日1回お皿の中に粗末な食事が盛られ…毛布もないのよ、しかも元ある服は没収されて粗末な物に着替えさせられ、シャワーはおろか、水すら自由には飲めないし、臭くなってきたら気まぐれにタライに水とボロ雑巾が渡されるだけなのよ…


そればかりじゃない!部屋じゃ無くて檻に入れられているのよ。


『まるで動物ね…』


しかもカーテンで仕切られていて外から見えない様にされているわ。


30歳を超えたおばさんなんて見る価値もない、そういう事なのね。


何回かカーテンが開いてお客さんが来たけど…


売れていくのは他の人ばかり。


村人のおばさんなんて誰も買わないわ。


奴隷は許可なく話せないから売り込みも出来ないし、辛いわ。


此処にいると自分に価値が無い…そう言われているみたいで本当に辛いのよ。


うふふふっ此処に希望は無いわ。


運良く買われても使い潰しの奴隷だから…碌な人生は送れない。


もう…私終わり…だわね。





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