第5話 体育祭に練習は付き物である

種目決めから1週間がたちついに体育祭練習という授業が5時間目にあるという由々しき事態になってしまった。俺はもちろんのこといやすぎて休もうと思ったが、あれだけ種目決めの時に嫌がっていたため、休んでしまったらズル休みだとばれてしまうかもしれない。そうなった場合のことを考えたときに休むという選択肢が俺からなくなった。


「ううううう」


俺の後ろからうなり声が聞こえた。


「どうした昊?」


昊は机にうつ伏せた状態のまま話だす。


「5時間目のくそ競技の練習いやすぎる」

「おいおい冗談はよし子さんだぜ。誰のせいでこのおれもそのくそ競技の練習に参加させらたと思ってるのかな?」


あとなんだっけ、こいつ種目決めの時なんかいってたよな。「誰もやりたがらないことをするのが男なんですよ」だとか「一緒に頑張ろう」だとか、いっていたのはまぎれもない同一人物である神戸昊たった一人だろ。


「マジごめんって」

「それはいいんだけどさ、、、」


そう正直今はそんなことはどうでもいい、今はただ今日の5時間目どうやってサボるかだ

まだ具体的なアイデアが浮かんでいない。なので俺は戦犯である昊にこのことについて意見を聞くことにした。


「ぶっちゃけどうやったら休めると思う?」

「5時間目か? そうだなトイレだと授業時間丸まるは無理だし、、、体調が悪いっていうのが最善なんじゃね」

「そうだよな。やっぱ体調悪い作戦が妥当か」


だがもし体調悪い作戦を教室でやってしまうと元井勇気という人間限ってのことだが、「おいおいあいつ保健室に行くふりをしてまたあいつお空でなにかと受信してんじゃね(笑)」という風に魔法少女ネタにかわる可能性があるそれは避けたい。第一この今4時間目までぴんぴんしていたため、休んだ時と同様にズル休みだとばれてしまう可能性がある。


ならこうするしかないな


「なあ昊俺から一つ提案がある」

「なんだ?」

「体調不良で休むんじゃなくて5時間目の練習の初めのほうにお前がわざと練習中に俺にぶつかる、そして俺がけがをして保健室へGOというわけさ」

「なるほどなるほど で、俺は?」

「俺はこの作戦を 直行保健室大作戦 となずける」

「うんうんうん 俺は?」


案がいかっこいい名前になったんじゃないか。これで絶対回避してやる


「昊一緒に頑張ろうな」

「よくわからんけど ばっちこいよ!」


おれはいい友達をもった。



とうとう5時間目になった。

ずっこけリレーの練習場所が先生から言い渡される。学年の5クラス合わせて200人中20人がここに集まっていた。あとから聞いたのだがこの行事はこの学校では毎年やっている恒例らしいのだ。でも昨年はやった思い出がなかったのはこの行事をやりたいと希望した人が学年でひとりも出なかったらしいのだ。


まあ、そりゃそうか。前も言った通りこの行事をやりたいといったやつはずっこけて快感を覚える変態しかいないだろう。でもそんな奴がこの学年はそろっているらしい

正直この周りの奴らと関わるのは気が引ける。


俺たちは運動場の右の端のほうに集められる。

するとひとりの男が話始める。


「やあ!こんにちは!俺は加崎斗真(かざきとうま)!集まってきた君たちはずっこけリレーのメンバー、、、ずっこけメンと呼ぶことにしよう!」


なんですかそのくそダサい名前、ずっこけメン?一生名のりたくありませんね。


「今日!練習するメニューはいったん自分の中の一番のずっこけ、、、ベストずっこけを見せてください!」


だからさっきからなんでこいつはダサい名前に置き換えようとするんだ。それともあれか陽キャ特融のすぐあだ名付けちゃうあれか?もう極限まで陽キャを極めるとこうなんでも宛名をつけちゃうのか?


・・・てか・・・ん? おいおいちょっとまて、一発目からずっこけんのか。それはヤバイこけたくない。一回でもこけてしまったらこいつらと同じレベルになってしまう。早めに直行保健室大作戦を、、、この名前もださくね、、、まあいいか


おれは作戦をより早く実行するために昊にアイコンタクトを取ろうと昊のいる方向に顔を向ける。


「あれ・・・・?」


さっき確かにいたはずなのに昊がいない。あれ?


するとさっきの陽キャがいた方向からその陽キャじゃない声がする。


「すみません、体調が悪いので保健室に行ってきます」

「そうか お大事にな」


うんうん   冗談はよし子さんだっていったじゃねーか!

あいつまじか!


俺は昊のことを呼び止めようと全力で声を出す。


「おい!!!昊!!!!」


あいつはこっちに振り替えるとあおるように笑顔になり、ウインクをし、俺に敬礼をした。それはそれは勇気君は大変おこりました。

すると周りの人から肩をポンとたたかれた。


「仲間が心配なのはわかるがその強い心が君がずっこけるための原動力になる!」


その男はこっちをみてにっこりとしてこれに提案してきた。


「さあ!君のベストずっこけを見せてくれよ!」


こいつ何言ってんだ。やばいやばいもうこけなきゃいけない確定演出が、、やりたくないやりたくない

この時俺は、ふとさっきの昊の逃げ方を思い出した。


「すいません・・・俺も体調が悪いなーーみたいな」


その男が黙る


いやいや怖い怖いなぜ急に黙る。なんかめっちゃ気まずいんですけど これはある意味違う拷問なのでは  これもすべて昊のせいだ


すると急に男が捨てられた犬を見ているような目線で話しかけてきた。


「さっきの友達がいなくなったのがそんなに悲しいのか。君はその友達のことがとても好きなんだね」


断じてそんなことはない。どっちかというと今その友達に殺気が沸いているまである


「い、いやーーそんなことはないんですけど・・・」

「大丈夫!気にせず、ずっこけろ!」


ここだけきりぬいて聞いたらただのいじめ現場だろ。おいおい嘘だろこいつらやれと言わんばかりの顔でこっちに近づいてくるんですけど。


「ほーーら!っな、やれよ!」


この後にこの時を思い出してこけなくていい方法を探したが正直なかったと思う。

この後俺は腹をくくり、昊への怒りを抱えながら俺は地面へと突っ込んでいった。

その時の俺のずっこけはとても素晴らしいものだったらしく、エースだと周りからはやし立てられた。


「ただ物ならぬ雰囲気を感じていたが、まさかお前ずっこけの達人、、、いやずっこけの魔術師か!」


ちょっと何を言っているかはわからないが、こいつが俺の噂を知っていることはよくわかった。


「も、元井君いまのどうやってやったのかな?」

「まあ放物線をイメージしてアーチを描くっていうのかな そして手足を閉じて空気抵抗を、、、ってちがーう!」


何俺みんなにアドバイスをしてんの。バカなの。病気なの??????

あれーーー?ちょっと待ってこいつら聞いてくるのはいいんだけどさ、、、こいつら一回でも飛んでたっけ???あれーーー?


「お前たちも実践してみたらどうだ?やったほうがきっと聞くよりもいいぞ、、、百聞は一見にしかずみたいな。」

「、、、、、、、」


んーーーー?


「おーい?早くとんだら?」

「それはむりな相談ですね。」

「そっかじゃあ俺見とくhって今なんて言った?」


こいつ今否定したように聞こえたのは俺の聞き間違えではないだろうか?

もう一度聞いてみるか。


「と、飛ばないの?」

「はい。痛いの嫌ですもん」

「へ、へーーー加崎くんはもちろん飛びますよねーー?」


そうだよ加崎がいる!あんだけ前に出ていたんだこいつが飛ばないわけがないだろう。


「俺土アレルギーなんだよね。いや、、、サンドカーズなんだよね!」


いやだせーよ。てか何でこいつらずっこけリレーって競技に参加したんだ?俺を見習えよ。

???違う違うなんで俺この競技の顔みたいになってんだよ。やだやだヤバイおれこの競技にどんどん浸食されて行ってしまっている。


「うわあ」


ん?なんか聞き覚えのある声が聞こえるぞ。

その方向に目をやると、、、


「うわっ」


日花里がいた。正直なんで俺の口から「うわっ」と声がでてしまったかは謎だが、日花里は普通のリレーに参加しているようだった。そう普通のな。俺は聞こえよくすると特別なリレーだ。悪くするとずっこけリレーだ。そんなものに参加しているおれを軽蔑するかのような目で俺をみてくる。


「先輩が変なのは知っていましたが、、、、まじか、、、」

「俺だってやりたくてやってるわけじゃねーよ。勘違いすんn、、、」


この時元井勇気は考えた。まわりの人は一回も飛んでいないため体操服がきれいだが、俺はド派手に地面に衝突したためとても悲惨なことになっている。日花里から見ればまわりの人はやりたがっていないのかもしれないが、こいつ(元井勇気)だけは違う。

だめだ、、、これ積んでる、、、


「、、、、」

「で。その格好で言いたいことがあればどうぞ???」

「なんにも、、、ないでしゅ、、、、、」


なんでこうなんだよ、、、、、、

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青春にオカルトは付き物(憑き物)である! 翡翠(カワセミ) @KAWASEMIN

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