2月21日④

 .





「こんにちは。さくらちゃんのお母さん」

「こんにちは、シュウト君」

「お母さん。お父さん、一体どうしちゃったの?」

「あんたからの電話を切った後に、すぐ父さんに電話したの」

「うん」

「そしたら『今からすぐに病院へ向かう!!』って、自宅から実家に私を迎えに来て直行病院に来たの」

「うん」

「そんで父さん、病院の駐車場からここまで全力ダッシュで来たの。病院は走っちゃダメなの知ってるのに」

「………」

「さくらちゃんのお父さん、すごいねぇ」

「いや、違う」

「うん」

「?」

「「ただのお馬鹿」」

「そうなの……?」


 ……お母さんと一緒にお父さんを見に行ったら、お父さんはナースステーションで婦長さんに説教されてました。


『さくらちゃんのお父さん。病院は走るところではありません』

『すいません。娘が退院出来るって聞いて嬉しくて……』

『嬉しいのは分かりますが―――…』

『―――』

『―――』


「ねぇ、お母さん」

「ん?」

「お父さんって、何歳?」

「さぁ?」

「何か婦長さんに怒られているお父さん……小学生に見える」

「あれでも、さくらの父親だよ」

「……うん」


.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る