2月21日②

 .





 医師との話が終わった後……。


 プルルル……プルルル……


『はい、もしも……』

「お母さんっ!!!!」

『……さくら?』


 わたしは病院の公衆電話まで走って、おじいちゃん家…お母さんの実家に電話をかけた。


「お母さん、わたし―――退院できるって!」

『いつ?』

「明後日の―――02月23日っ!!!!」

『そう』

「……あれ、驚かないの?」

『驚いてほしいの?』

「いや、お母さん。リアクション薄くない……?」

『普通でしょ?』

「喜ばないの?」

『うん。用件終わったんなら、切るよ』

「え、ちょっ……!?」


 ガチャッ

 ツー……ツー……


「………。えぇーっ!?」


 わたしの返事も聞かずにお母さんは電話を切った。

 声からして、お母さんは怒ってはなかったと思うけど……。

 何か……呆気ないなぁ……。

 お母さんよ。

 ちょっとくらい、驚いたり喜んでくれても良いのに……。

 しばらくわたしは、音が鳴り止んだ公衆電話を見つめていた。


.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る