シュウトくん⑤

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「嫌です」

「……そう、よね……。ゴメンなさい……」

「シュウトくんのお母さん。変なこと言わないで下さい。……わたしはシュウトくんが“かわいそう”とか思って、これからもシュウトくんの友だちでいるなんて嫌です」

「………」

「シュウトくんの病気が何であろうと、シュウトくんはシュウトくんだもん。シュウトくんがわたしの大事な友だちなのは変わらないです」

「……さくらちゃん……」

「だから……これからもシュウトくんの友だちでいてくれ、なんて頼まないで下さい……。わたしは自分の意志でシュウトくんと友だちなんです」

「……そうね、ゴメンなさいね……。……ありがとう……」


 シュウトくんのお母さんは、泣いていた……。

 わたしのお母さんも含め、世の中の“お母さん”はやっぱりすごい……。


「……ゴメンね……。最近、おばさんね……、どうも涙もろくなっちゃって……」


 ……わたしのお母さんも……わたしが意識ない時に……こうやって泣いたんだろうか……?


『まだ、逝かせてたまるかって思った』


 ……お母さん……。


「……さくらちゃん。おばさんは……シュウトの母親失格よね……」

「えっ?」

「だって……シュウトの母親なのに……。あの子に何もしてあげれない……。あの子の病気を代わってあげることも何にも出来ないの……」

「シュウトくんのお母さん……」


 どうして……シュウトくんみたいな子が……リハビリを一生懸命しているのに歩けないの……?

 どうして……わたしみたいな奴が……リハビリを不真面目に受けてても、いずれ歩けるようになるの……?

 ……わたしは……。


.

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