真相②

 .





「青……」

「青?」

「……クマさんの青いパジャマ……」

「クマさん?」

「ママに買ってもらったって喜んでた」

「え」

「自分で選んだんだって。女の子はピンクより青色が好きだって言ってた」

「……そう」

「お母さん?」


 女の子の特徴を言ったら、お母さんは急に口数が少なくなった。

 それから、わたしは歩行器でトイレへ行って自分の病室に戻ろうとしたら……。



「ねぇ」

「んー?」


 わたしの病室にはお父さんがいて、お母さんと何か話してた。

 わたしが病室に入ったら、二人はすぐに話をするのを止めちゃうから、わたしはその場で二人の話を立ち聞きすることにした。


「……さくらが意識ない時、この病室の左斜めにいた子、どんなパジャマ着てたっけ?」

「青いパジャマだろ? 確か、柄はクマ。なした?」


 ……え……?


「……さくらが意識ない時にその子に会ったんだって」

「は?」

「“あり得ない”よね……」


 ………?

 何で、わたしがあの女の子を見ることがあり得ないの……?

 その前にお父さんもお母さんも、女の子のことを知っているの……?

 わたしの病室の左斜めにいた……?


「だってその子は、さくらが意識ない時に……」


 確か、わたしの左斜めの病室は今……。


「―――死んじゃったから……」


 え……?

 死んだ、って……?


「看護師さんたちが話してたんだけど、その子は生まれた時から心臓が弱くて本当なら1歳まで生きられなかったらしいの……」


 女の子は、心臓が弱かった……?


「その子のお母さん、その子の死をいつでも覚悟してたみたいなの」


 女の子は、いつも死と隣り合わせだった……?


「パジャマは、青色のクマ柄が一番気に入ってたんだって」


 だから、女の子はわたしと会った時にそのパジャマを着てたの……?


「なぁ。その子の名前は?」

「分かんない。だって私はさくらのことで精一杯だったもの」

「今から看護師さんたちに聞いてこよっか?」

「止めなさい。私たち、関係ないでしょう。無神経にも程がある」


.

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