無の世界
.
.
「―――……」
声が、聞こえる……。
「………ちゃん」
……誰かが、わたしの身体を揺らす。
「おねぇちゃんっ!!」
「……う……?」
目を開けると、わたしの視界に人影が映った。
「よかったぁ~。やっと、おきたねぇ~」
人影の正体は―――可愛い女の子だった。
「此処は―――何処……?」
「わかんない~」
「……そっか」
周りが全て白い……。
壁がない……。
何なの、此処……。
「……おねぇちゃん。どうしたのぉ~?
おかお、こわいよぉ~」
「あ、ゴメンね。大丈夫だよ」
「ねぇ、おねぇちゃん」
「なぁに?」
「おねぇちゃんどうして、わたしとおんなじふくきてるの~?」
「え……?」
女の子に言われて、自分の服装を見たらパジャマだった。
あれ、何でわたし、パジャマなんて着てるの……?
女の子も何でパジャマを着ているんだろう……?
「あ、わかったぁ~。わたしといっしょにおねんねするんだねぇ~」
「え? うん、そうだね……」
「うんっ」
「クマさんが好きなの?」
何か話さなきゃなと思い、わたしは女の子にパジャマのことを聞いた。
「うんっ。おねぇちゃんはうさちゃん、すきなの?」
「う~ん、どうかな?
このパジャマ、お母さんに買ってもらったんだ」
「ほんとっ?
わたしもね、ママにかってもらったんだよ~っ。でもね、えらんだのは、わたしなんだよぉ~っ」
「そっか。色は青だね。青色が好きなの?」
「うんっ。みんなはね、ピンクがいいっていうけど、わたしはあおがすきぃ~」
「そっかそっか。ねぇ、どうしてパジャマを着ているの?」
「なにいってるの、おねぇちゃん?
わたし、これしかきないよ」
「え……?」
これしか着ないってことは、この子は普段着もパジャマ……?
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