禁忌題目の簡易プロット Ver.2.0(筆者作成)

『日常生活に溶け込む「顔」の怪異(仮)』


[ジャンル]現代オカルトホラー

[テーマ]安定していると思われている日常の脆弱さ

[一行ログライン]

 日常に隠れていた怪異により、善良な主人公の順風満帆な日常が崩壊していく


[起]

 一人暮らしの主人公(姉)。実家の弟から、母が怪しい団体に傾倒していると聞く。父は「そのうち飽きる」と取り合わないが、不安になった姉弟は母の後をつける。団体は「見えない顔を感じようとする」という不気味な修行をし、無謀な勧誘活動に精を出すカルトだった。姉弟は母をどうにか説得し、カルトとの関わりをやめてもらう。


[承]

 「見えない顔に命令された」と不可解な供述をする犯罪者が増えているが、主人公の家族らは平穏を取り戻した。しかし今度は弟が「見えない顔」の幻覚と殺人衝動に悩まされる。カウンセラーに相談しに行くと、何故か同様の幻覚に悩む人が急増しているらしい。どの治療も効果なく、焦る主人公と弟。母親に説明を求める。


[転]

 母曰く、カルト団体の教えでは「顔」とは「神様」で、「感じる」ことは良いが「直接視る」のは不敬となり怒りを買って不幸な目に遭うのだ、と。カルト団体の指導者だけが知るという「顔」を鎮める方法を聞き出すため、主人公は団体に潜入し洗礼を受ける。しかし、洗礼の最中で主人公も「顔」が視えるようになってしまう。


[結]

 幻覚に苦しみつつも指導者と接触を果たす。「顔」の怒りを鎮めるには、生贄として誰か三人に洗礼を受けさせる必要があるらしい。誰かを犠牲にすべきか諦めるか悩む中、父も弟も母に洗礼を受けさせられたことが発覚。母は「顔」を視たが故に家族全員を生贄にしたのだった。弟と父は衝動に耐えきれず人を殺し逮捕。主人公も慌てて生贄を探すが、カルトが社会問題化し騙される人が減った中では困難だった。

 

※改善検討事項

 ・だいぶホラーものらしくなってはきたが、後味が悪すぎるかも

 ・今度は「日常生活に溶け込む」感が薄れてしまった

 ・そもそも「怪しげなカルト団体」を物語の骨組みにするのは古い?

 ・物語に含みをもたせる余地はかなりある気はするが、現状は見えない

 ・怪異の設定がご都合主義っぽく感じられてしまうかな

 ・もうすこし生々しい感じのリアリティが欲しいところ

 ・ただ「怪しげなカルト団体」を想像で書くのではなく、もっと現実にあるカルト団体のことを調べた上でプロットに活かしたほうが良いか?

 

【筆者メモ】

 2022年11月末、かき集めた情報に刺激を受けつつ出来上がった改訂版プロット。

 形にはなってきたものの、ご都合主義感が強いために悩んでしまっていた。


 Kから言わせれば「別にご都合主義でも面白ければ良いんじゃねえの?」だそうなのだが、彼は本当に大胆な感覚派で、しかもそれで面白いものを書いてしまう天才だ。そんな相手の創作論を、私が取り入れようとしてもなかなか難しいものである。


 それはそれとして、自らの担当編集である佐藤氏に今回の簡易プロットをメールで投げておく。『日常生活に溶け込む「顔」の怪異』でプロット作成を続けていることを伝えるためである。


 反応があればまあラッキー、程度の期待だ。無論「禁忌題目」だからどうしてもNGを喰らうのなら、それはそれで別のやり方を模索しようと思っていた。

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