1999年に解散した新興宗教団体の機関紙
[光相の導き 活動報告書 平成十一年春号]
・近隣の清掃修行
冬の寒さも随分と和らいできましたね。審判の日まであと少しとなることから、三月十七日は御仲間様方と駅前の清掃に励んでまいりました。入信より日の浅い御仲間様に清掃修行の大切さを真に理解していただくために、我らが天祖様の真言を参照しました。「万事も一歩から」。愚かな我々は御神貌を感じられずとも御神貌はそこにあり、我々の小さな行動一つ一つの積み重ねによって見守ってくださるようになるでしょう、と。その成果もあってか皆様精力的に励まれており、放り捨てられたごみを拾う動作一つにも力が入りました。修行が進むにつれて、通りがかりのお子様から「何をしているの?」と問われました。「私たちは自分たちの運命を切り拓くための修行をしております」とチラシを渡すと、お子様は不思議そうにしておりました。その日がくれば私たちの言葉を思い出し、きっとあの子の助けとなるでしょう。全ての人々に御神貌の御加護がございますようにとお祈りさせていただくと胸が熱くなりました。ご参加いただきました御仲間様の皆様、ありがとうございました(流山支部・祢津)
・今後の日程
(常総本部ホールB)
「定期集会 導きある人生」
四月~六月 毎週土曜日 十時半より
到達者の柴田先生、本部修行生の赤羽チーフが参加されます
(蒲田支部)
「心身ともに健康になろう なんでもお悩み相談会」
五月十五日(土) 三十日(日) 両日十三時より
アドバイザーの木山さん、佐藤さんが参加されます
入信者以外も参加できます こぞってお誘いください
(給田支部)
「第九回 しあわせフリーマーケット」
五月一日(土)十時~十六時
丸石本部長の講演会は十三時に開始予定です
お手伝いくださる御仲間様は鈴木支部長にご連絡願います
(大宮記念館 会議場)
「修行実践セミナー」
六月一日(土)十四時から
我らが天祖であり大指導者 天見幸甚様の御言葉を頂戴できます
到達者 副島先生、波多野先生、町田先生が参加されます
・修行のいろは
昨今、修行を正式な手順を踏まずに行う不届き者がいるという噂がございます。我らが天祖の方法から外れたものは全て邪道であり、改心せぬ者は審判の日を前にして必ず無限地獄に落ちることになります。もしも修行方法に悩みがある場合は必ず修行教本を読むか、近隣の本部マネージャー、支部長にご相談ください。(本部・高田)
・お知らせ
(おめでとうございます)
横浜支部修行生 仲チーフが断眠修行にて成功し、到達者に相成りました
今後は本部研修を経た後に到達者として活躍いただきます
なお、横浜支部から到達者が生まれたのは初めての事となります
仲先生、本当におめでとうございます
(おつかれさまでした)
柴又支部の修行生 小田切チーフが水面禊修行にて卑視者と相成りました
去る二月二十五日に入寂されました 翌世での成功をお祈りいたします
小田切チーフ、本当におつかれさまでした
・最後に
御仲間様の皆様には、普段の日常や修行中に感じたことなどの体験談を募集しております。次回の夏号は六月二十日頃の発行予定となっております。
それでは明日も、自分たちの運命を切り拓くために頑張ってまいりましょう。
【筆者メモ】
前項の「上総光相会」について調べていたら発見。そもそもこの「上総光相会」は新興宗教団体「光相の導き」のパンフレットや教団冊子、機関紙などの発行を専門とする会社だった。もちろん「光相の導き」の下部組織である。専門用語ばかりでその内容を正確に読み取れない部分が多いものの、なかなかに刺激的ではある。
「光相の導き」自体は真言密教をメインに独自解釈し、様々な修行(簡単なものから命を落とすほどの過酷な苦行まで)によって解脱を目指す古典的な宗教団体だったらしい。お決まりの語句は「(自分たちの)運命を切り拓く」。
興味深いのが「御神貌」という名の独自の神を信仰対象としているものの、その正式名称もどういう姿でどんな謂れがあるのかも、いくら調べても出てこなかったことである。偶像崇拝の禁止令でも敷かれていたのか、ただその存在を感じることだけが許されること(そしてなおかつ、唯一の目標)だったように見受けられる。
なお、この新興宗教団体「光相の導き」は1999年に解散していた。
以前から過酷な修行によって死者が出ていたことで問題視されていたところ、教祖である天見幸甚が自殺、その後組織体を保てずに一気に崩壊していったようだった。しかし、1999年に「光相の導き」が解散したなら、おかしなことになる。
前項の通り、「光相の導き」の下部組織である「上総光相会」は2006年になってから一般向けのムック本を出しているのだ。
意志を継いだ残党が違う形で再起を図ったのだろうか? それにしては「人生が見違える!! 波導エリの最強おまじない」だなんて、この「光相の導き」のニュースレターとはあまりに芸風が違いすぎる。あまりに違いすぎるのに、「光相の導き」と同様に(もしくはそれを参考にして?)修行じみた事を推奨している。
そして、「御神貌」。これは、神の貌(かお=顔)と読めないか?
藤石宏明はもしかすると、対談した「波導エリ」なる人物のバックボーンと思われるこの「光相の導き」からインスピレーションを得たのではないだろうか。そして後は書き上げるだけの所まで来ていたのに、失踪した。
一体、どういうことだろうか?
このなんとも言えない面白さをKにも共有しておく。
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