夜景
注文を終えて私はようやく一息つくことが出来た。
入店してからずっと店内の浮ついた空気と戦いながら、お目当てのメニューが無く何とか本来の目的を果たそうと頭を巡らせ続けてやっと一杯ありつける事が出来るからだ。
入店してからもう15分も経ってしまっていて、先程まで乳繰り合っていた窓際のあの席のカップルはもう席を立ち、会計をするためにレジの方に向かって連れ立って歩いて行く。
また他の客も未だ熱っぽい息遣いでこの後も何処かへ行くのか、何かスマホで調べあったり財布の中身などを確認していたりして帰り支度を済ませようとしている。
折角来たというのにお目当てのあの席を、コーヒーカップや食事皿が重ねられたあの机を羨ましそうに私は眺めていると、その向こうの窓ガラスにはこの店で普段見る事の出来ない夜中の祭りの後の風景がスクリーンの様に映し出されている。
一通りの演目(祭りの演目として色々な演奏会やエイサー等が行われている。)が終わったのか、疎らではあるが祭り客が笑ったり疲れたりした顔で駅の方へ歩いて行っている。
その映像はまるで映画やアニメーションの様にこの店が祭りの間だけ深夜まで営業している非日常感、祭りの夜の余韻の熱っぽさが映し出されていた。
彼の人はきっとこの風景を見て創作活動をしていたのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます