蜂蜜レモン酒

「ああ黒すけ、そうねえ。ちゃんとお礼しないといけないわね。」


 にゃあ。


 店主は黒すけの声を聞くや否や何か思いついたように、出店の下の方を何か探すようにガサガサと漁り始める。


「あなた、お酒は飲めるかしら?」


「ええ、まあ人並みには・・・。」


「あら、それは良かったわ。」


 店主は彼女の手前に並べられた茶色の何かが入った瓶を手に取り、しっかりと閉じられた蓋をきゅぽんと音鳴らして開ける。


 するとすぐさま嗅いだことのある甘い香りと、さらに爽やかな酸味のある香りが同時に私の鼻をくすぐり始める。


 ああこの匂いは、蜂蜜とレモンだ。


 店主はその瓶の中から茶色のねっとりとした蜂蜜を大匙2杯程掬い取りプラスチックカップに放り込んで数回練り混ぜると、固着する程の硬度があった蜂蜜は次第に粘度を取り戻してカップの中を揺れまわる。


 そしてそれに取り出したリキュールを大匙1杯、更に冷水で割りつつここにかち割り氷を3つ入れ再度匙でかき回すと、夏場にぴったりの蜂蜜レモン酒の完成だ。

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