そっぽの先
ねえ、貴方どこから来たの?
・・・。
彼は頭を撫でられながら鳴かずに目線だけで、すぐ横にある坂の上の方をすっと何気なく見る。
そう。坂の上から来たの。ソーセージは美味しい?もっと食べる?
・・・にゃああ。
私の方を向いて自らの鋭利な八重歯を見せつけるように、欠伸のような大きな口を開きそうだと言った。実際にそう言ったのかは解らないが、恐らくそう言ったのだろうと私は感じた。
あなた、遅くまで居ていいの?早く帰らないとおうちの人が心配しちゃうよ?
私がこう言うと、彼はそれぐらいわかってるわと言わんばかりにプイッとそっぽを向く。
我が家の近くで迷い猫のチラシが掲載されているのをしばしば見ており、彼もきっとそうなってしまうのではないかと心配になっていたが、この様子を見るにそれは問題なさそうだ。
彼が無事に帰れそうだと私がホッとしていると、私の気持ちを知ってか知らずか彼はそっぽを向いた方にとことこと歩き始める。
ちょっと、どこ行くの!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます