ねこまっしぐら
私はケチャップがかかっていない食べかけのソーセージの一部を千切り、猫の前に差し出すと猫の目は超新星爆発を目前にしたかのようなベテルギウスの目でそれに飛びつく。
そう?そんなにおいしい?もっと食べる?
私は無我夢中でソーセージにむしゃぶりつくこの黒猫に語りかけると、彼は途端に顔を上げうるうるとした目でにゃあと小さな泣き声を上げた。
これくらいかな?
私は大体中指の第一関節ぐらいの大きさで千切り、彼の眼の前に差し出す。
彼はすぐさまそのソーセージをがぶりと一口で頬張り、呑み込み、私を見上げる。
水に濡らしたオパールの様に、涙を乱反射させるようなうるうるとした目で彼は私を見る。
うっ。
・・・にゃぁ・・・。
私はこの手の、こういう目に弱い。
ああもう仕方ないわね、もっとあげるわ。
ソーセージの先、手元、場所に係わらずケチャップやマスタード、塩のついていない部分を更に千切り彼の眼の前に出す。
すると先程までの私の良心に強く訴えかける麗しい目は何処に捨てたのか、ねこまっしぐらの言葉の通りに彼はソーセージにかぶりつく。
よほどうまいのか齧りかみ砕く度に、にゃっだのふがふがだのと口元から泣き声が漏れ出ている。
わたしはそれを聞いてなんだか愛らしく思えてしまって、遂には食に夢中の彼の頭をなで始めてしまった。
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