12歳と聞いて、忘れていた事を思い出した。

そういえば彼の人は12歳で熊谷空襲に被災したのか。

彼の方が遭遇したのは日本に於ける最後の空襲となった熊谷空襲。

彼らがこうやってソーセージを頬張っている年齢と、彼の人が被災した年齢。

全く同じ年齢だ。

あの人は熊谷空襲の経験、その怒りと平和への思いを元に作家活動を続けていた。

今彼らが何の不自由もなく、笑顔で暮らす為に。

本当なら今日の夏祭りもいつものあの席で見ていた筈だった。

今年はもう、物静かに佇むあの人はもういない。


正直な所、あの子らにあんな顔をさせてしまった自分自身が恥ずかしくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る