第8話 投げるのよ
「ゴードン、あったぞ!」
「お、あったか!」
二人の祖父が何やら茶色いぺらぺらとした物を手に取ってはしゃいでいる。
「それ、何?」
「これか……これはな……こうして……こうするんだ」
コーディが茶色い物を手に取ると、細い管のような物で息を吹き込むと丸く膨らむ。
「うわぁ……って、これ、もしかして……」
「そうだ。沼ガエルだな」
「「「ウギャァ~」」」
コーディが手に持つ沼ガエルにジュディ達三人が反応する。
「何、持って来てるのよ!」
「早く、捨てて来なさい!」
「アビー、触っちゃダメよ!」
ジュディ達はそういうが、アビーは好奇心が勝ってしまい、膨らんだ沼ガエルをちょんちょんと突いてみる。するとポヨンポヨンと心地いい反応が返ってくる。
アビーは楽しくなり、更に突いてみる。そんな様子を見ていたゴードンがアビーに問い掛ける。
「どうじゃ、アビー。遊びに使えそうか?」
「うん! あ、でもこのままじゃ……」
「あ~子供にはキツイか」
そう、アビーが口ごもるのもしょうがない。何せ、見た目は沼ガエルそのものなのだから。
「見た目をどうにかすればいいんだな?」
「うん。出来る?」
「出来るさ。爺ちゃん達に任せなさい。コーディ、いいか」
「おうさ」
二人の祖父は家の外に出ると、作業場として使っている庭の片隅で何やら作業を始める。
アビーは解した上着をジュディに渡すと、祖父達の元へと向かう。
「あ! アビー、待ちなさい!」
「ごめん、お母さん!」
「ドン爺! コー爺!」
「お、来たか」
「アビー、こっちへおいで」
膨らんだ沼ガエルは直径二十センチメートルくらいの球形になっている。それに祖父達は少しグロイ沼ガエルの見た目をなんとかしようと、緑色の革を貼り付けていた。
「こんなもんか。どうだ、アビー?」
そう言って笑うコーディの手には緑色の革で覆われた沼ガエルだった物がある。
コーディに手渡されたそれを受け取り、手触りを確かめた後にちょっと手で押してみると軽く反発する。
アビーはその感触が楽しくなり、その場で地面で突いてみると、ポ~ンと跳ね上がる。
「うわぁ~」
アビーは楽しくなり、手でついたり足で蹴ったり、家の壁に投げつけて跳ね返ってくるのを楽しむ。
アビーは、ニヤリと笑うと持っていたボールをコーディに投げつける。
「えい!」
「お! 何するんだ? って、そんなに痛くはないな」
足下に転がっているボールを持ったコーディは、どうしようかとアビーを見ると、アビーはコーディに向かって手招きをしている。
「投げろってことか?」
「そう。僕に投げて!」
アビーに言われたコーディは下から山なりにボールをアビーに投げる。
ふわ~と跳んできたボールを受け取ったアビーは頬を膨らませている。
「違うの! コー爺、こうやるの!」
そう言って、アビーはコーディに思いっ切りボールを投げつける。
「うぉ!」
コーディは、自分に向かってきたボールを腹の前で両手でしっかり受け取る。
「そう! コー爺、上手!」
アビーからのボールを落とすことなく受け取ったコーディに対し、手を叩いて褒める。
「じゃあ、僕に投げて! でも、さっきみたいな山なりじゃなくて、僕が投げたようなのね。お願いね!」
「……」
「遠慮するな、投げてやれ!」
「でもよぉ」
「アビーが言ってるんだ。それにそんなに固い物じゃないだろ」
「でもなぁ~」
「もう、貸せ! 行くぞ! アビー」
「うん、ドン爺。いつでもいいよ!」
「ほれ!」
ゴードンがアビーを目掛けて、ブンと音がするくらいの勢いで手に持っているボールをアビーに投げる。
「そう! これこれ!」
ゴードンが投げたボールを嬉しそうにアビーが『バシッ!』と受ける。
「うん。痛くはないね。コー爺、ほら! 大丈夫だから!」
そう言ってアビーはコーディ目掛けて、ボールを投げる。
「うわっ……うん。確かに痛くはないな。ほれ!」
コーディが今度は加減すること亡くアビーにボールを投げる。
いつの間にかアビーはゴードン、コーディ、カーペン、アビーの四人でボールを投げ合って楽しんでいた。
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