point of no return

今日もまた、変わらない日常が続く。

寒空の下、烏が鳴いている。

「そろそろ学校行かなきゃ遅刻しちゃうよー?」

階下から姉さんの声が聞こえる。

今日は曇り。憂鬱になりながら着替えを終える。

忘れ物は無い。

「行って……あっ」

両親の写真が音を立てて倒れる。急ぎ過ぎたようだ。

「ごめんなさい……、行ってきます。」

写真を起こしながら告げる。

……返事があった気がした。

放課後、また姉さんの店に向かう。……

「鍵忘れちゃったの?そう……、一緒に帰る?」

「……うん、帰ろう。」

店を出た時、外の景色が歪んで見えた。

これも、人には見えないんだろうな。

「ねえ、秀利……。外おかしくない?」

突然姉さんがそう言う。いつもの笑顔がない。

その時、目の前が白く染まった。

「なにっ!?秀利!!」姉さんに抱き締められる。

轟音、振動……。埃が舞う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る