第26話
遊園地の売店で食べた焼そばはしっかりと美味しかった。
麺はもちもちでしっかりと麺に絡みついたソースがガツンとか頭に響いてくる。
濃いめの方が好きな僕にとって出てきた焼そば結構濃いめで、実に好みであった。
「ふぅー」
「美味しかったわね」
飯を食べ終わって直ぐにジェットコースターに行くのも乗り物酔いとか色々な観点でよろしくない。
僕はジェットコースターを離れ、ダラダラのんびりと古海と遊園地内を歩いていた。
「ね、ねぇ、和葉」
「おん?」
そんな折、和葉が足を止めて立ち止まり、僕の名を呼ぶ。
「一緒にあそこのお化け屋敷に行かないかしら?」
自分たちの隣にあるお化け屋敷を指さし、古海が口を開く。
「え?嫌だが?」
そんな古海の言葉を僕は一刀はでもって切り落とす。
嫌だよ、お化け屋敷なんて。怖いもん。
なんでわざわざ脅かして怖がらせようとする人間のおもちゃ箱の中へと進んでいくのか、理解できない、
「えー、行こうよ!お化け屋敷」
「嫌だっ……ん、待って」
古海の言葉はそこそこデカい。
ここでお化け屋敷に行かなくては女の子がお化け屋敷を望み、男の方がそれを断り、行くのを辞めたみたいに周りに思われる可能性がある。
人は社会性の生き物である。
どこまで行っても人は己一人で生きていくことなど出来ず、自立などまやかしだ。
人が一人で立つなど無謀の極みである。
そんな中で、人にとって最も大事なのは外聞。
周りからどう思われるか……これが生きる上で最も必要な思考回路だと僕は思う。
「……やっぱり行こうか」
お化け屋敷への恐怖と己の外聞。
その両者を秤にかけた結果、僕は己の外聞を取った。
「やった!お化け屋敷いこー!」
「うん、行こうか」
僕は今にも逃げ出したくなるのを我慢しながら古海と共にお化け屋敷の方へと向かうのであった。
「ぎにゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」
「あわわわわ、触れ、触れて、かずゅはきゅん!?触れているよ!?き、ぎゅっと抱きしめられて……はふぅん!?待ってそこ、おっぱい……ぁあー!!!」
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