第24話

 そんなこんなでやってきた遊園地。

 古海の金で遊園地へと入った僕たちは早速とばかりにジェットコースターの列へと並んでいた。

 僕が遊園地に来る理由はジェットコースターであり、僕は遊園地にはジェットコースター以外のアトラクションが要らないと思っているほどのジェットコースタージャンキーである。


「え?なにそれ、どういう状況?」


「でしょおー、すごく面白くない?珍状況と言うにふさわしい光景でしょ」


「何をどうしたら神楽が愛梨に噛みつき、その後プロレス技の掛け合いになり、神楽が宙を舞うんだよ」


 古海から聞いた神楽と愛梨の喧嘩の内容とそれを録画した動画を確認した僕は思わず吹き出す。


「神楽ってば普段笑わないし、無表情だけどその行動はただの異常者なのよね」


「小学生の頃から変わってないのか……?」


「えぇ、変わってないわよ。と言うか酷くなっているわ。神楽も成長してその見た目の神秘さは年々上がっているからね。それなのにもその行動は変わらず。やばいわ」


「草……あと、聞きたかったんだけど。神楽のむみみって何?笑い声?小学生のころはあんな訳分からんこと言わなかったよね?」


 無表情のまま呟かれる笑い声のようなむみみ。本当に謎だ。


「あー、本人的には笑い声のつもりらしいわよ?なんか笑っているのか笑っていないのか分からないって言われた経験から笑ってますよ、アピールで言うようになったらしいわ」


「……?なぜむみみ?」


「……さぁ?」


 僕の言葉に古海も首を傾げる……彼女もそれはわからないようだ。


「まぁ、あの二人の話はいいでしょ。私と違ってあの二人のキャラは強力……あの二人のエピソードを話していたら永遠に終わらないわ


「言っておくが、お前も十分濃いからな?金持ちストーカーのひとつで役満だよ」


「でも、あの二人はその属性に加えて色々な属性を持っているもの。あの二人と比べたら私はおーどう美少女よ。好きでしょ?王道」


「確かに好きだが、お前は王道じゃない。その時点で僕の王道好きは関係ないよ」


「えー」


 僕と古海はダラダラと会話を続けながら、自分の番が来るのを待つのだった。

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