第23話
実に壮絶なじゃんけんの結果。
最初の一日デート権を獲得したのは古海であった。
「それで?何処に行くの?」
古海に促されるまま電車へと乗り込み、電車に揺られる僕は彼女に目的地を尋ねる。
「ふふっ。遊園地に行こうかと思って……好きだったでしょ?遊園地」
確かに、小学生の頃は良く行っていたなどというレベルではなく、毎日のように行っていた。
「うん。まぁ、というか今でも普通に好きだな。ちょいちょい玲衣と行くぞ」
そして、それは高校生になった今でも変わらない。
頻度は落ちているが、それでもちょいちょい玲衣と遊園地に行ったりする。
「……」
「ふふふ、古海にしてはなかなかいいチョイスではないか」
「……ッ、でしょう?必ず楽しませてあげるから!」
「期待しているよ」
個人的に遊園地はデートに最適な場所だと思う。
列の待ち時間の間に会話が途切れて気まずくなる関係でもなければ……僕も財布の好感度稼ぎのため、デートとしてちょいちょい遊園地には来ていた。
普段は細心の注意を払いながら買いを行う僕であるが、今日はそんなことする必要はない。
実に気楽なものである。
「……ごめんなんだけど、本当は貸し切りにしたかったんだけど流石に当日貸し切りにするのは難しかったから、貸しきりに出来てない……ごめんね?」
「は?」
そんなことを考えていた僕へと本当に申し訳なさそうな表情で古海はそう告げる……こいつ、待ち時間を貸し切りにすることで強制的になくそうとしていたん?
「いや、別にいいけど……というか出来るの?」
「金銭的には問題なく出来るんだけど……今日は時間の関係で」
「そ、そうなのか……」
僕は改めて自分の財布の金銭状況の豊かさを再確認する。
待ち時間はない方が楽しいよね?という軽い考えで貸し切りにしようとしていやがる。
「貸し切りにするなんて考え、そもそも僕にはないから全然気にする必要もないぞ、待ち時間も遊園地の一部だ」
凄いズレたところで落ち込んでいる様子の古海へと僕はそう慰めの言葉をかけた。
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